睡眠不足の私と保健室


眠い!眠い!眠〜いっ!

先程から欠伸が止まらない。

実は、此処最近の平均睡眠時間が3時間くらいだったりする。

いつもは8時間睡眠が基本な私にはかなりの苦痛だ。


嗚呼、何故テスト1週間前ってこんなにも眠れないんだろうね!

高校生の永遠の悩みだと思う。


「ふあー……眠い、眠たすぎる、死ぬ、死んじゃう!」


眠気のせいでテンションがおかしい気がする。

気がする?否、確実におかしい!

だって頭がふわふわするもの。


「ちょ、委員長大丈夫?顔色悪いよ、クマも酷いし……」


そうクラスメートに心配されるほどヤバいらしいよ、私。


「綾部、お前……!」


近くに居た三井くんの驚いた声が聞こえた。


――あれ、なんか、視界がぐにゃりって、曲がってる。


「綾部!」


三井くんの声が遠くなる。

……あれ、私、どうなっちゃった?






……――目を開けると、真っ白な天井があった。

そして薬品の匂い、柔らかなベッド、暖かい毛布……嗚呼、ここは保健室か。


「って、ええええええええ!?」


勢いよく起き上がると、頭がくらくらした。


「お、起きたか」


という声と共に、カーテンが開けられる。


「三井くん……」

「ん、なんだよ。そんな目まん丸にして」


どうやら三井くんが私をここまで運んできてくれたらしい。


「疲れが溜まってたみたいだな」

「うん、ここんとこあまり寝てなくて」

「……また無理しやがって。あ、ちょっと失礼」


三井くんはそう言うと私の脇に手を近づけた。


「ええっ!ちょっと!?」

「あーあー、んなやらしいことしねーって。今は」


――今はってなんだ。


「体温計、挟んでただろ?」

「あ、本当だ」


自分で脇から体温計を抜く。

36.2℃、平熱だった。


「そんな照れなくても良いだろ、俺が挟んだんだし」

「え……っ!?み、三井くんセクハラ!」

「看病してやってセクハラ呼ばわりは心外だなオイ」


私の額に当てられた三井くんの大きな手。

そして目の前でにやりと笑われれば、私の心臓は爆発寸前だ。


「熱出てきたな」

「誰のせいで……!」

「それじゃあ、俺がもうちょっと看病してやりますか」


三井くんによって、ベッドに無理矢理寝かされる。


「うわあっ!ちょ、え!?」

「だから、やらしいことなんてしねーって。もう少しだけ寝てろ。お前の場合、すぐ授業に戻っちまいそうだからな」


三井くんはベッドのそばに椅子を置くと、そこに座った。


「寝ろ、隣に居てやるから」


そう言って私の頭を撫でる大きな手。

暖かくて心地よい……私は目を閉じた。


「あんまり無理すんなよ。まあ何事にも一生懸命なとこは、俺、好きだけどな」


私は微睡みの中、そんな声を聞いた気がした。


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