秘密基地 | ナノ



幼い頃を覚えてる?
オレとお前の秘密基地、川をまっすぐ下って、生け垣を跳び越えて、蔦の絡まる幽霊屋敷の裏、大きな樫の木が風にそよぐ毎週金曜日、オレとお前で一緒にいろんな旅に出掛けたよな。
それから、覚えてる?
オレとお前が別れた場所、まばらに光が差し込む森を抜けて、小さな池をぐるりと回って、誰も住んでいない古ぼけた家の屋根に登って赤く染まっていく空を見ていたな。あの時オレは夕日が目に染みるって言ったけど、本当は泣いていたんだ。お前は木々の向こうをひたすら見つめていたけど、鼻声だったのを知ってたよ。「またな」って言ったお前にオレは「ああ」って言って、その肩を掴んだけれど、心の中ではお前のこと嘘つき野郎って言ってたんだぜ。お前もきっとオレのことを意気地無しって思ってたんだろ?

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