純白にて.b
きみのことが好きだと気がついたのは、いつのことだっけ。
何気なく、ふと気がついた。あたたかい気持ちに。ちくりと痛む気持ちに。
純白に包まれ、にこりと笑うきみを見、私もほほ笑んだ。
綺麗な笑顔をしているんだね。その笑顔がきっと、きっかけかな。
「亜子、……綺麗だな」
急にそういうことを言うから、私ははにかんだ。不意打ちだ。
きみはからかうように歯を見せて笑う。
「髪、伸びた」
「壱くんは伸びないね?」
「短い方が好きだし。長いと変だろ?」
「そだね。その髪型、好きだよ」
本当はね、全部好き、だけど。
壊れ物を扱うように慎重に、その気持ちと壱くんの頭を包み、彼のつんつんとした髪を撫でる。
手触りが好きだから撫でるの……って、いつも言い訳。
手触りを楽しむように撫でていると、彼の頭が高いところへ行ってしまった。