「ななしの目はキラキラしてて綺麗だ」

なんてジャックが至極真面目な顔で言うものだから恥ずかしさを通り越して面食らった顔をしてしまったのは致し方ないと思う。
返事を考えようと顔はジャックの方を向いたまま視線だけを右へ左へ1往復させてから「……そう?」とだけ返すとジャックはこくりと首を縦に振る。
そうかなぁとジャックを見つめ返すと目が合った。こっちを見るジャックの目はきらきらキラキラ。
いつもは夕焼け色のグラスに遮られている瞳はまるで昔テレビで紹介されていた鳩の血の様に綺麗だと称される真っ赤な宝石みたいで。

ジャックの目の方が綺麗じゃないかという言葉を紡ごうとした口は寸でのところできっと言ったところで自身への評価が著しく低い彼には否定されてしまうだろうし、なによりジャックの様にそんな小っ恥ずかしい事を言える度胸も無かったという理由で閉口し代わりに少し間を置いて「……ありがとう?」と疑問符の付いたお礼が吐き出された。
「うん」と満足そうに礼を受け取ったジャックの瞳はやっぱりキラキラしていて。

「ズルいなぁ」と声には出さず呟いて照れ隠しにジャックに軽くデコピンを一発。目を白黒させるジャックにいたずらっ子の様な笑みを向けながらジャックの肩に寄り掛かる。
いつかちゃんと言うから、否定してもいいから、否定されてもジャックが恥ずかしくなるくらいいっぱい言っちゃうから。
だからいつかいつかに今日言えなかったこの言葉を聞いてね、ジャック。


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