季節の言葉 | ナノ


【季節湯】
冬至のゆず湯以外にも、12ヶ月それぞれに季節のお風呂があるそうです。


◆1月 松湯
冬も青々と茂ることから“不老長寿”の花言葉を持つようになった松の葉を使ったもの。
松の精油にはカンフェンなど血行促進作用がある成分が含まれているため、松湯に入ると体が温まり、松の葉のすがすがしい香りでリフレッシュ効果も。

<作り方>
お湯に松の葉をそのまま浮かべるか、葉についた樹脂をぬるま湯で流した後に煮出した液を入れる。
より簡単に楽しみたい方は、松葉茶でも代用できるんだとか。



◆2月 大根湯
大根は中国では(らいふく)と表記されることから、“来福”を意味する縁起物とされている。
実は薬草としても人気で、大根の葉は根よりもミネラルやビタミンが豊富で昔から冷え性や婦人病の民間療法に使われてきた。
干した葉を用いた湯に入ると塩化物や硫化イオンの働きにより、肌に膜をはって保温効果が期待できるため、寒い冬に適しているのだとか。

<作り方>
大根1本分の葉を2〜10日間ほど陰干して、その葉を刻んで布袋に詰めて浴槽に。
煮出した液も入れると保温効果がアップする。


◆3月 蓬(よもぎ)湯
爽やかな香りで古くから魔除けに使われていたほか、健康と美容に効く万能薬草として漢方などで重宝されてきた。
血行改善の効能が高く、よもぎ湯につかると血行が良くなり肩の凝りや体の疲れをほぐしてくれる。
成分の一つ・タンニンには、止血や殺菌効果があり、切り傷やしっしん、あせもなどの肌の炎症にも効果が期待できるそう。

<作り方>
生のヨモギを5〜6本を刻んで、煮出した液を入浴剤のように入れる。
または、乾燥ヨモギを布袋などに詰めて浴槽に入れる。


◆4月 桜湯
桜は薬効も高く、その樹皮に含まれるフラボノイドという成分には、湿疹や打ち身など肌の炎症などを抑える働きが。
さくら湯には樹皮を使うが、花びらも一緒に浮かべると華やかに。

<作り方>
刻んで日干し、乾燥させた桜の樹皮を布袋に入れて煮出し、その液と布袋を浴槽に。



◆5月 菖蒲(しょうぶ)湯
昔から疲労回復や血行促進などを目的として用いられてきた薬草。
古代中国で端午の節句に蘭草ふじばかまの葉を入れたお湯に入って邪気払いした風習がその起源。
日本では蘭草が手に入りにくかったため、代用品として菖蒲を入れるように。
とくに武家では、菖蒲を“勝負”や“尚武”という言葉にかけ子の成長を願い、端午の節句に菖蒲湯に入る習慣が定着していったといわれている。
また端午の節句の前日である5月4日に菖蒲を枕の下に敷き、その菖蒲を湯に使う風習もあったよう。

<作り方>
菖蒲を束ねて浴槽に入れるか、菖蒲を詰めた袋と煮出した液を湯に入れる。


◆6月 どくだみ湯
独特な臭いの元であるデカノイルアセトアルデヒドという成分には、消炎や抗菌効果があり、昔からやけどや肌の炎症などの民間治療に使われてきた。
そのため、どくだみ湯はあせもや湿疹が気になる梅雨の季節に適している。
新陳代謝も促すため、お肌をきれいにする効果も期待できる。

<作り方>
ドクダミの葉や根を袋に詰めて浴槽に入れもみながら使う。
匂いが気になる場合、乾燥したドクダミやどくだみ茶でも代用可。



◆7月 桃湯
桃は栄養価の高い果物で中国では仙人が食べる“仙果”とも呼ばれ、縁起の良い果物とされてきた。
中国の魔除けの力を持つ果物という考えが広まり、江戸時代には、日本でも暑気払いもかねて、夏の土用に桃湯に入る風習が広まったのだとか。
桃の葉に含まれるタンニンやフラボノイドという成分には、炎症を抑え肌を引き締める収れん作用があり、あせもや虫刺され、日焼けなど、夏の肌トラブルへの効果が期待できる。

<作り方>
桃の実ではなく、葉の部分を布袋などに入れ、煮出した液とその袋を一緒に浴槽に入れる。


◆8月 薄荷(はっか)湯
薄荷は冷感を生むメントール成分を含んでいるため、夏の入浴時にぴったり。
日本の和薄荷(クールミント)はペパーミントとは違い、メントールの量が圧倒的に多いのが特徴。
スーッとした清涼感があり、サッと汗が引くので湯上がりもさっぱり。
その一方でメントールは体内に入ると血管を広げて体を温めるため、冷房病や冷え性など、夏冷えの改善も期待できる。

<作り方>
薄荷の葉を入れた布袋をお湯で蒸らし、その抽出液と袋を湯船に入れるか、市販の薄荷油を数滴ほど浴槽にたらす。
冷感を強めたい場合は、お風呂のお湯をぬるめに設定すると良い。



◆9月 菊湯
「菊湯」は9月9日の“重陽の節句ちょうようのせっく”という伝統的な年中行事に由来。
この日は菊の花をさまざまな形で楽しみながら、邪気を祓い長寿を願う日。
初めは貴族の宮中行事として行われていたが、のちに庶民の間でも菊湯を楽しむようになった。
菊に含まれるカンフェンという精油成分は血行を促進し体を芯まで温めて夏のたまった疲れを癒してくれるため、夏の終わりにぴったりな薬湯。

<作り方>
野生種のリュウノウギクの葉を袋に入れて熱湯で蒸らし、袋と抽出した液を浴槽に入れる。
菊の花も浮かべると、見た目も美しく香りも楽しめる。


◆10月 生姜湯
生姜は昔から、血行促進や抗酸化作用などで漢方にも多く用いられてきた。
とくに生姜の辛み成分の一つであるジンゲロールには、体を内側からじんわりと温める働きが。
冷え性対策はもちろん、免疫力が高まり風邪予防も期待できる。
また酵素の働きで夏の皮脂汚れも落ちやすくなるのだとか。

<作り方>
スライスした生姜を布袋に入れ、湯船に浮かべてもみだす。
すりおろして絞った汁を入れても良い。


◆11月 蜜柑湯
みかんの皮は“陳皮”とも呼ばれ、漢方の生薬として古くから重宝されてきた。
みかんの皮にはその香りの元となる精油成分のリモネンが含まれており、リラックス効果抜群。
リモネンは血行促進や保温効果もあるため、みかん湯に入ると体がポカポカして湯冷めしにくく、風邪をひかないとも。
また果皮にはリモネンに加えてクエン酸やビタミンCも含まれているので、乾燥しがちな冬にお肌をしっとりと潤わせる効果も期待できる。

<作り方>
洗って日当たりの良い場所で干したみかんの皮を布袋などに入れて浴槽に入れるか、みかんを丸ごと5個程度浴槽に入れる。
肌が弱い方は、果皮をしっかり乾燥させるか、みかんを丸ごと入れて刺激成分を出にくくする方法がオススメ。


◆12月 ゆず湯
“冬至の日にゆず湯に入ると、1年間風邪をひかない”という言い伝えもある。
冬至と“湯治”、柚子と“融通"をかけて「お湯に入って融通よく」という意味が込められているのだとか。
また柚子の香りで邪気払いをして身を清めたともいわれている。
ゆず湯はその爽やかな香りでリフレッシュできるほか、皮に含まれる豊富なビタミンCやリモネンの働きで、保温・肌荒れ防止も期待できるので、健康にもとても良い薬湯。

<作り方>
柚子をまるごと湯船に浮かべるか、カットして布袋などに入れて湯船にいれる。
肌が弱い方は、まるごと浮かべるのがオススメ。

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