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窓辺から太陽の木漏れ日が差し込み、気怠さが残る中で目が覚めた。ベッドの上で身体を捩ると、腰に鈍痛が走りぬけ、昨夜の情事を思い出して、思わず顔が染まった。
昨日はバラムとセックスをした。明確に好きと伝えたわけじゃないけれど、なんとなくキスをされて、驚きはしたものの「俺ってバラムのことが好きなんだ」とそのキスを受け入れるような関係になり、セックスをするのは初めてじゃない。
頻度は忙しいこともあって(そもそもアジトにいる時間がないというのもあるけれど)多くないけれど、一度始めると日付が変わる前から、明け方まで励んでいる気がする。俺は途中で意識が飛んじゃうから、よく覚えていないんだけど。朦朧とする意識の片隅で、暗闇で良く見えなかったのに、徐々に日の光が差し掛かりバラムの顔が見えてくるから明け方までしてるってことなんだろう。
なんで、そんな顔だけ覚えているのか、自覚がある。
俺、好きなんだよな。なんだがバラムが必死に快楽を貪っている顔がさ。
額から汗が流れて、眉に皺が寄っていて、口は間抜けに開いている。瞳は潤んでいて、お世辞にもかっこいい顔じゃないのに、普段、飄々としている分、この顔は今は俺だけが見れる顔なんだろうなぁって、そんなことを思ってしまうのだ。
それに、長時間セックスをしないとバラムはそういう顔を覗かせない。年の功とかいう言い方をすると怒りそうだけど、俺より長く生きている分、経験もそれなりにあって(俺はバラムだけだというのに)いつも俺が好き勝手、弄られて先に余裕がなくなってしまう。気持ち良いからいいだけど、俺が乱れている頃には、バラムには余裕があるからさ、楽しそうな顔はするけど、ただ性欲だけを追い求めるような必死そうな顔は後半にしか見れなくて、だからそういうバラムの顔だけは、意識が飛んでいるときでも覚えてるんだよな。


「お! やっと起きたのかよ召喚者」
「バラム」
扉を開けてノックも無しに部屋に入ってきたのはバラムだった。寧ろ、バラム以外の人だったらこの現状をどう説明すればいいか詰んでいたところだ。
起きたての俺は当然のように裸だ。まぁ、これは別にいいんだ。普段から服を着て寝ていないから。
問題は、明け方までセックスをしていたせいで、部屋の中が微妙に臭いことと、体中に広がったキスマーク。極めつけは、後孔から流れ出るバラムの白濁だ。いつもなら俺が起きる頃には体中を綺麗に拭かれ、後孔の中も綺麗に洗浄しておいてくれるのだが。どうやらバラムも先ほど目覚めたばかりらしい。俺の中には昨日の情事を彷彿させる残滓がたっぷりと残っていた。少し動いただけでたらりと、太ももを伝い落ちてくる。
「今から拭いてやろうと思ってたのによ」
「……ありがとう。けど、自分で拭くよ」
桶とタオルを持ってきてくれたバラムに礼を述べて、受け取ろうとしたけど渡してくれなかった。
「今更だろ。俺がやるから寝ときな」
「え、いや、悪いよ。いつも寝てるときにやってくれてて感謝してるけど、起きてるし大丈夫だよ。ありがとうバラム」
身体が拭けないほど、節々は痛くない。桶と蒸しタオルを持ってきてくれたのなら、あとは自分でなんとか出来るとアピールしたのだが、バラムはなぜか鼻で笑った。
「なんで笑うんだよ」
「いや、恥ずかしいとか可愛げがある理由じゃねぇんだコイツ……って思った」
「それこそ今更だろ」
昨日、あれほど交じり合ったというのに何を今さら恥ずかしがることがあるんだと、バラムに問い質すと深いため息を吐かれた。
「元々、露出狂の気があるとはいえ、羞恥心をもっと持って欲しい限りだよ、召喚者」
「いや、露出狂って……それに恥ずかしいとは思うよ。今は慣れちゃっただけで。初めて、その、した時とから恥ずかしかったよ」
「あ―ー覚えてる。顔真っ赤にして、小声でバラムって名前呼んでさ。あれは良かった。あの時くらいで頼みたいね」
「悪かったな」
「まぁ、忘れてたなら思い出させてやるのもいいけど」
バラムはそう言って、いきなり俺の後頭部を引き寄せてキスをした。
喋っている最中でのキスだったので、空気が入って、ふごっと変な音が鳴る。思わず笑ってしまっても可笑しくない音だったのに、なにするんだ行き成りとツッコミを暇さえ与えずに、バラムは舌を入れてきた。上あごをバラムの長い舌が触れる。舌先で突くように動いた後、強引に俺の舌と絡められた。
「っ――ー」
まるでセックスの前にされるようなキスだ。昨夜与えられた快楽を思い出して、少しだけペニスが勃ってしまった。衣服を身に着けていない身体の反応はすぐにバラムにバレてしまう。目線で犯すように下腹部を見られて、ペニスに手のひらを当てられた。
「あっ―ー」
掴まれてもいない、一瞬触っただけなのに思わず声が漏れた。
「キスだけで、緩く勃ってるな」
「あのな! そりゃ、勃つよ」
「敏感な身体だよな。初めからこんなんだっけ」
裏筋を指先が撫でる。亀頭を人差し指と中指で挟むように上から下へとゆっくり動かされ、先ほどからの刺激で漏れ出した我慢汁を使い尿道へと指先を挿れられた。
「っ―ーんっ、ぁ、ば、らむ」
「ちょっと触っただけなのに、この我慢のなさ」
「あっ!! ちが、ちがう。はじめ、っ―ーちが」
「だよな。初めてセックスした時はこんなに気持ちよくなかっただろ」
必死に首を縦に振った。確かに初めは羞恥心と緊張から体が硬く慣れない快楽を追うことが出来なかった。
性欲に淡白だったわけじゃないけれど、そんなことに構っている暇がないくらい、俺の日常はある日を境に大きく動き出してしまったから。当然、バラムとこういう関係になるまで、経験もなく慣れていなかった。初めてのセックスが終わったとき、妙な達成感はあったし、気持ち良かったことは良かったけど、今ほど、快楽に従順で居られたかと問われるとそうではないと言えるだろう。
「こんなに気持ち良くしてやったの誰か言ってみ」
「っ――ー!」
「ほら」
「ぁ、あっ―ー」
なんとなくバラムの魂胆が分かった。いきなり、キスをされて動揺して気持ち良くさせられてしまって忘れていたけど、元の会話は羞恥心を感じなさすぎる俺に対して、思い出させてやるとか言ってた。だから、その、これは、俺に恥ずかしい思いをさせるためにやりだしたのか。
確かに恥ずかしいな。口に出したくないような気もする。バラムによって、作り替えられてしまった……とかさ。
「ほら、ココも。初めは硬かったのに、今じゃ指の三本も余裕で飲み込んでいくぜ」
「ひっ――ー!!!!!」
バラムは俺の後孔へと手を伸ばし、未だに昨日の白濁が残るそこへと指をいきなり三本も挿入してきた。明け方までバラムのペニスを加えこんでいたそこは、三本を軽く飲み込んだ。
「前立腺気持ち良いだろ」
「っ―ーや、あぁっ」
前立腺は初めてセックスした時から俺にとっては快楽を得る場所だった。なにしろ、本来セックスが目的で使用する場所ではないので快楽に感じる男と、そうじゃない男が存在するらしい。今じゃあんまり考えないけど、初めの頃は俺だってバラムのことを抱くつもりだったんだけど、どうやらバラムは感じないタイプらしくて「気持ち良くなるタイプで良かったじゃん。お前がネコな」と言われた記憶がある。当時は少しばかり、反論して見せたし、男のくせに後孔で感じるというのが妙に恥ずかしかったのだけれど、今じゃすっかりそれが当たり前になってしまった。
「ひっ!!」
浅いところにある前立腺を指先で挟むように触れられ、フラッシュする快楽から逃れようと身体をねじるが、バラムがそれを許さなかった。再びキスをされそのまま、ベッドに押し付けるように倒された。昨日の疲れも残っているのにもう止めて欲しいという抵抗のつもりで、股を閉じようとしたが、間に入ってこられて、引き続き後孔を指で弄られた。
「ラムっ! ぁ、あっ―ーふ、バラム!」
「ん?」
「バラムに、気持ち良くっされる身体に、されたっ!」
「だろ、もっと早く認めてりゃ良かったのに」
「っ―ー! はぁっ、あ、あのなっ!! 俺だって、いちおう、男なんだからっ―ー! そういう恥ずかしさは残ってんの」
女側で抱かれる恥ずかしさとか、そういうのじゃ微妙にないんだけど。自分だけ受け身で好き勝手バラムに体を作り替えられているっていう事実がさ。改めて口に出したいことじゃないんだよな。
「あっそ。あのさ、恥ずかしさついでに、どうして欲しいか言ってみ」
「っ!!! バラムっ!」
「ほら」
そう言いながらバラムは前立腺を思いっきり人差し指と中指で挟んだ。思わず射精してしまいたくなる電流の様な快楽が身を駆け巡ったが、空いている方の手でペニスを絞る様にもたれ、射精がせき止められていた。
「ひゃっ―ーん、ばらむ、おまえっ」
「あともうちょっと頑張ってみたらすげぇの待ってるんだけど」
「っ――ーここ、俺のっ―ーアナルにバラムのペニス、挿れて、ほしいっ――ー」
指先で、バラムの手が入っている後孔を指して挿入して欲しいとお願いした。
するとバラムは満足したのか、にやりと、意地が悪い顔で笑った後に劈くような勢いでペニスを入れてきた。昨晩の残滓が潤滑油となり、ぶちゅうとペニスが挿入されたことによって、俺の後孔の中から白濁が溢れ出た。
「あぁ!! っ―ーはぁっあ、ぁバラム、バラムっ」
「っ―ーな、気持ちいだろ」
「はぁ、あっん、あん―ー」
慣れ親しんだバラムのペニスが俺の中を蹂躙している。激しく肌と肌をぶつけるように腰を振られ、度を越えた快楽の中になにも考えられなくなっていく。明け方までしていたせいで体力は寝て回復したとはいえ、殆ど残っていない状態なのに、それでもバラム、バラムと泣き叫んだ声がとまって、次に目を覚ましたのは日が沈んでしまってからだった。





窓辺から零れだす橙色の光が瞼に当たり起き上がった。すでに綺麗に拭かれたあとの身体。後孔に思いっきり吐き出された精液が綺麗に掻きだされていた。同時にほぼ丸一日バラムとセックスをしていたことになるので、後孔になにも収まっていない違和感が凄い。
「お、起きたか」
「バラム」
「まぁまぁ怒るなって。気持ち良かったろ」
「まぁ、そうだけどさ。恥ずかしかったから、ああいうのは無しな」
「恥ずかしいって思わすのが目的だったしな。けど、本当はもっと酷いことしてやろうと思ってたのに」
「えぇぇ!」
「俺の精液、尻穴から掻きだしてる姿、実況してやろうとか、そのあと、玩具でもペニスに縛り付けてみてようかと」
「なんてこと考えてるんだお前……」
「けどまぁ、俺がヤりたいって気持ちが勝っちゃったから実行には移せなかったけどさ」
バラムはそういうと誤魔化すようにキスをしてきて、悪戯に成功した子供のように笑って見せた。まぁ、そういう顔も俺は、嫌いじゃないから結局、許してしまった。