二口と茂庭 | ナノ
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暑いからだ、と二口は朦朧とする頭で、甘美な汁を啜った。何回、口付けても唾液を上手く飲み込むことが出来ない茂庭は、口角から汁を零れ落としていた。舌を強引に絡めとって、わざと音をくちゃくちゃ出すように、咥内を犯しつくすよう、執拗に味わった。
息継ぎだって上手く出来ない茂庭は、舌を絡められるたびに、顔を真っ赤にして、鼻で息をすれば良いと教えたが、それすらも、上手く出来ないようだ。

「茂庭さん」
「っ――も、二口、限界だから離せ」

初めて招き入れた自分の家。ベッドの上で可愛らしい恋人とキスをしていて、手放せる筈がないと二口は身体を引き寄せて、抱擁した。片思いだった時は、このベッドの上で幾度も自慰行為を繰り返した。妄想の中にしかいなかった存在が、今はこうして手を伸ばして抱き寄せると、自身の中で吐息を漏らしながら、抱え込んだ腕の中には体温がある。

「もうちょっと」

甘えた声を出して、抱きつくと、しょうがないなぁと眉を垂れて、許してくれることを知っていた。返事の変わりに頭を撫でられ、直視するのが恥ずかしいのか、目線を逸らされた。
合図だと、再び口付けをして、唾液を絡ます。わざとらしく、僅かに反応している股間へと、膝を侵入させお皿の部分でぐいぐい押すと「あ――」と普段からは想像できない声がして、羞恥で耳朶まで染まっていた。そんな茂庭を見ると、仕掛けた方の二口まで顔が真っ赤になってしまい、唇を再び塞いだ。
汗が額から毀れおち、髪の毛を伝い茂庭へと垂れていく。きっと茂庭はこの顔を真っ赤にしてる脳味噌で「止めなくちゃ、止めなくてちゃいけないってのに、今日はこの後、映画を一緒に見るって予定だった筈なの、に!」と自分の欲望を葛藤しているの違いない。中々、流されてくれない所が、茂庭の良い所であり、中々に面倒な所だと二口は思った。
激しい、衝動に任せ、熱に犯されるキスを少しだけ弱め、乱暴に絡めていた舌先の動きを、優しいものへと変えていく。
先ほどと対比すると生ぬるいものへと変わってしまったが、落差がじれったくて茂庭は腰を微かに動かした。

「も――にわさん」
「っ――生意気!」
「生意気ですから」
「くっぁ、も、一時間だけな」
「は――い」

わざと伸ばして返事をすると涙目で睨まれてしまった。
一時間だけで終わるわけがないのに、と二口は思いながら、茂庭の首筋へ顔を埋めた。