金田一と影山 | ナノ
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多数派というのは少数派を淘汰してしまうんです。数の力という奴が重石となって伸し掛かってくるんですよ。昔、クラスメイトいたでしょう? 人より太っていたり、頭が良かったり、特殊な病気を持っていたり、背が高かったり、低かったり。何か平均的な人間とか目立つ異質な存在は。
いないなんてことありません。だって、子どもというのは無邪気に人を追い遣るのが大好きな生き物なんですから。遺伝子、細胞が同じ人間なんかいませんでしょう。
言うじゃないですか「みんなちがって、みんなよい」と。良い言葉ですね。私もそう思います。「みんなちがって、みんな良い」だからこそ、自分たちとは違う人間なんて個人の都合で簡単に作ってしまえるんです。
太っていても虐められなかった人もいます、頭が良くても、一人ぼっちにならなかった人もいます。けど、逆に人も多くいます。権力者。教室や学校という空間では先生や、小山の大将とか、群がるだけの雑踏と違って、力を暴力的に奮う人はいませんでした。もしかしたら、貴方がそういう人間じゃありませんでした。逆にそういう人間に淘汰されていませんでしたか。
別に違う人っていうのは、マイナス面だけじゃないんです。プラス面でも同様に。突出した才能という奴は、多数派から潰されてしまうことも良くあります。才能というのは恐ろしいです。周囲から「才能」だけに目をつけられてしまい、その人間の本性なんてどうでも良い場合があるんですから。なんでも簡単な言い訳にも使えます。「アイツは才能があるから、俺達の気持ちなんて判らないとか」「アイツが天才だからしょうがない」とか他にも色々と。才能、天才という言葉は、悉く、言い訳として使えるのです。天才だからと罵声を浴びせられ、天才だから水をぶっかけて良いとか、天才だから無視をしても良いとか。
天才だからってなんて便利な言葉でしょう。天才だからという言い訳はすぐに正論で多数派になりやすく、目をくらませやすい、なんて便利な言葉なんでしょうか。


「違う、俺はっ――! アイツの方にも問題があった」

アイツっていうことは、自分が悪いことを認めるんですか? ほらほら、だって、結局は数の力に頼って拒絶したじゃないですか。もう無理だって、一緒にやれないって、言ったじゃないですか。貴方はボールを打たなくなったじゃないですか。

「話し合おうとしたっ――! した、けどっ――」

したんですか?

「アイツは聞く耳を持たなかった」

持たなかったんですか?

「持たなかった! アイツには俺たちの気持ちなんか、わからねぇんだ! バレーっていうのは、繋ぐスポーツなのに、独り善がりな王様には、独裁政権しか出来なかった! 駒は必要なかったんだよ」

そうですね、そうですね、なるほど、そういうことでしたか。

「そうだっ――アイツが悪かった……」

けど、じゃあ、なんで貴方はそんな風に心を刷り切らしているんですか。泣きそうな顔でこっちを見ているんですか。辛いって叫んでいるんですか。