ギルとエリザ | ナノ
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ひんやしりた手だった。想像以上に冷たくて私の髪に触れると凍えてしまいそうだった。滑らかな手じゃない。剣を何十回も気が狂いそうなほど握ってきた手は潰された肉刺で覆い隠された堅牢な手だった。私の髪の毛に触れながら、アイツは「みつあみにしろ」と馬鹿みたいなことを言い出した。酔っているの? と首を傾げ「なんで、アンタに髪型を命令されなきゃいけないの」と返した。普段通りの味気ない。色気なんてものを彷彿させない遠くにある会話の集合体だ。
アイツはやっぱり酔っていたようで、追求してみればビールを十杯以上飲んできたらしい。いくらビールでも飲みすぎよ野蛮人、と頭をひっぱたくと「いいからみつあみにしろよ」と抱きついてきた。ぎゅっと男の身体に抱きつかれて心臓が飛び出てしまいかと思った。私とはすっかり違う身体になっちゃって生意気だわ。代わりに私の身体には柔らかな脂肪がたくさんついていて、アイツは気持ち良さそうだった。どうして三つ編みなの? と観念してしょうがなく、聞き返してやると、ひんやりした手を背中に回され、息が耳朶を掠る距離で「お前のが見てみたかった」と答えた。なにそれ、意味わかんない。
「ポニーテールは見たことあるけど、三つ編みはねぇんだよ。見てみてぇだろ。お前、きっと可愛いし、うん、それで一緒にピクニックへ行こうぜ。二人で、二人ってことが重要だからね。破ったら犯すから。アハハハハハ! バスケットとシーツ、冷えたらいえねぇからブランケットと、一緒に絵を描くから色鉛筆も持っていこうぜ。そんで、二人して、驚くほど静かな中で過ごすんだ」
ええ、それはとっても、呆れるくらい幼稚な妄想だったけど、私は嫌な気分にならなかった。嫌じゃないような気がした。色鉛筆でスケッチをするとか話していても、結局は喧嘩になるのだ。女の子らしい服装をして行っても最終的に喧嘩となるのだ。あたたかいブランケットで包まれても、アンタの方がいっぱい取ってる! もっとこっちに寄越しなさいよ! とか甲高い声をあげて喧嘩になるのだ。昔見たいに暴れまくって私は頬っぺたを泥だらけにして。一時的に子どもへと戻る。けど、その戻った後はどうなるの。私はアンタとその先へ行けば良いの。一時的な解放を終え、今度は男と女として。だけど、そうすると私の友人だったアンタはどこかへ行ってしまう。そんなの、寂しくて仕方ないわ。うん、そうね、それを判っているから、アンタもこんな酔った戯言に任せて告げてきたのね。ずっと一緒に居るって難しいわね、ギルベルト



キーワード:みつあみ ブランケット 色鉛筆
(ごめんね、ママ)