(流血表現少し有り、アベリオンが痛くて可哀想です、なんていうかねっちょりしてるので注意!)








「天より導かれし黒雷よ我に逆らいし者へ裁きを与えよ!天雷陣!」


詠唱と魔方陣に喚び出されて、町外れの森に晴天の空を切り裂いて稲妻が落ちた。
激しい衝撃が響き渡り、黒煙が辺りに立ち込める。
風に切り裂かれ血が止まらない肩を押さえ、応急処置に治癒術を唱えた。
その間も、次の攻撃に備え耳を澄ませ神経を尖らせる。


「万死の罪をも焼き尽くす地獄の業火よ」


聞きなれた声の詠唱の上段がわずかに聞こえた。
人工精霊も倒された今、自分を庇うものはもうない。
ああくそ、こっちの体力はもう限界なんだよ畜生…!
もう一発大技を食らえば自分は、確実に沈むだろう。

あんなのを食らってたまるかと、すぐに自分も被せて詠唱を始める。
一番扱い馴れた魔法だ、一秒でいい、あいつより早く術が発動すれば…!


「精霊の御矢よ我に逆らいし者へ痛みを与えん!」


奴の炎の最強魔法である炎魔界より先に、矢の呪文が放たれる。
加速の呪文をかけてあるのが幸いした。
ぐさり、と矢がアベリオンの脇腹を貫通した。

まさか連続で先制されるとは思ってなかったのだろう。
悲痛な叫びに遮られて詠唱は途切れ、奴はそのままぐったりと倒れ伏した。
杖は手離され、足元に転がっている。

術者にとって杖を手離すことは敗北を認めることで……
つまり僕は、アベリオンに、勝った……!
得意げに笑い勝利に浸り、敗者を見下ろせばアベリオンは力なくへらりと笑う。


「……あーあ、まけちゃった、ね」


血にまみれて息も絶え絶えに呟く様は、今にも消え入りそうに見えた。
勝利の余韻に浸りきれずに、気分が冷めてしまう。


「ちっ、もっと悔しがれよ、」
「……無茶いうね、矢がぐっさりいっといて…は、そんなよゆーはないって」


もともと、儚げな雰囲気を持った奴だとは思ってた。
線の細い華奢な身体で、色素のない白髪に近い銀色の髪に、女より白く綺麗な肌。
そして微笑むように笑う、それもどこか陰をたずさえて。

散り際の花のような美しさだ。

誰かがそう例えたのはあながち間違ってない、と思う。
今にも、真っ赤な花を咲かせて散ってしまいそうだと思った。
生に執着なんてせず、あっさりと手放しそうに。
死をちらつかせて尚、美しく見えるそれに、僕はひどく惹かれた。


「シーフォン?……っ…ぁぐ、なに、して…!」
「なあ、痛い?」


気付いたら身体が動いていて、もうぶっ飛んでたとしか思えない。
血にあてられて、戦闘の高揚感を発散しきれず、有耶無耶になったせいか。
弱りきったようなアベリオンの姿など初めて見たからか、上手く理性が効かない。


「はら、抉られて……っ、痛くないわけ、はあ、ぐ…あると…でも、?」


未だに具象化されて突き刺さったままの矢を握り、抜き差しかけては刺し抉る。
溢れ出る生暖かい血に染まっていくのは、とても美しいことに思えた。
度数の高いアルコールにも思える腥い匂いに、酔ってしまいそうになる。
アベリオンの血のような赤い瞳に映った僕は、狂気染みた笑みを浮かべていた。

綺麗なものは汚したくなる、そんな言葉が頭を過る。
痛みに歪み泣きそうな顔をしたアベリオンは、綺麗だと思う。
いいや、いつだってこいつは綺麗だ。(それが外面だけであるならば)

だから、ふとした時に思う。
ぐちゃぐちゃに汚してしまいたい。
泣かせてすがり付かせてぶっ壊してしまいたい、と。

それが今、やたらと僕の頭の中を侵食していた。
いつの間にか完全に理性が飛んでたらしいと気づく。
でも、もうどうしようもできなさそうだった。


「このままだとお前さあ、痛みのショックか出血多量で死ぬんじゃねえ?」
「っ…しぬなら……楽に死なせて…ほしい、んだけど、ね」
「殺してくれって懇願するなら考えてやるけど?」
「ならいい、」


普通なら耐えられないはずの痛みに耐えて、にやりと笑う。
どこまでも思い通りにならないアベリオンが、堪らなく苛ついて、そして僕を煽る。
傲慢でプライドが高くて気高くて、誰をも寄せ付けない。

せめて生にすがり付けば興味も失ったのに。
まだ何もしてない内に死なれても困るので、治癒術をかけながら矢を引き抜いた。
一瞬、確かに安堵の表情を浮かべた。
解放されるとでも思ったのだろうか、ばかなやつ。

隙ついてアベリオンを蹴り飛ばして体制を俯せにする。
すぐに抵抗を防ぐべく、引き抜いた矢を纏めた両の掌に突き刺す。


「ひぐ、ぁあああっ――!!」


歪む表情と淫靡な絶叫にあてられて下腹部にずくり、と重い熱がたまる。
こいつなら、そういうのもアリかもしんねえなあ、と下種なことを思う。
男となんて真っ平御免だとは思うけど、アベリオンならイケるかもしんねー。

今すぐに汚したくなる衝動を抑えて、貫通した両手と焦げた腕に治癒術をかける。
痛みに慣れたのか感覚が痺れて狂ったのか、アベリオンが此方を睨み付けてくる。


「お前がそんな血生臭い鬼畜趣味だったなんて知らなかったよ、はは、ドン引きしすぎてどうしよう」
「僕も今の今まで知らなかったしな、」
「こんまま死なない程度に、いたぶってくれるの?おれ、被虐趣味ないんだけど」
「まあ半分当たりだな、死なない程度に犯してやるよ」
「は?…………正気?」
「殺されるよりなぶられるより、ケツ掘られるほうがこわあいって?そりゃまた笑える話だな」


するりと頬を撫でれば、元々色のない頬が青白く染まる。
息を飲み、恐れを含んだ揺れる瞳で僕を映す。
それでもまだ睨もうとしてくるのだから、もう意地らしくすら思えた。


「……さっさとブチ込めば?前儀も慣らしもいらない、早く終わらせてくれる」
「ああ?なに、お前経験済み?」
「……さあね、どっちだってお前に関係ないだろ?」


それが震えた声だった、と気が付くのは後の話。
頭に血の登った僕はただただイラついた。
なんだよ、その余裕、何されっかわかってんの?

気に入らなくて、振り向いた頬をばしん、と叩く。
立場わかってんの?お前、と告げて。
殴るよりも細やかな暴力は、上下関係を知らせるものだった。

それを理解して屈辱感に満ちた顔で睨んでくるのがのが面白くて、もう一度叩く。
衝撃で手に負荷がかかったらしく、痛みに顔が歪むのが綺麗に思えて、また苛つく。


「わかってねえ、僕がみたいのはなあ、アベリオン、お前が泣いてよがって狂う汚い姿なんだよ」
「だからって俺相手に起つの?あり得るわけ、!」
「はん、だから余裕こいてたのか、残念だったな、お前の悲鳴と顔だけなら好きみてえ」
「っ……イイ趣味してるよお前、」


反応しかけてる熱を押し付ければ、ひどく蔑んだ目を向けてくる。
ぞくり、とした。
この目がこれから堕ちていくのだと思うと、頬が緩みそうになる。

足を折って無理矢理四つん這いにさせてから、口元に指を差し出す。
舐めろよ、と端的に命じて指を口内に突っ込めば、あぐ、と噛みついてきた。
噛んでんじゃねえよ、と奥まで指を突き入れれば、嗚咽を溢す。
僕はこいつの苦しそうな顔を見てると、やっぱり勃ちそうだ、などと思った。

指を増やし噛み難くしてから口内を犯していく。
舌を摘み付け根をつついて歯列をたどり、上顎をやさしくなぞる。
キスをするように指で触れれば、目尻に涙を滲ませた。
僅かに頬が上気しはじめているのも見てとれて、くつりと笑みがこぼれる。

そのまま長衣の紐をほどき袷をずらして下着も脱がせてしまう。
すると、白く細い脚がむき出しになった。
薄らと筋肉のついたしまった脚は、しっとりとして触り心地がいい。
撫で上げると僅かに震えるのが面白くて、今度はべろりと舐めあげる。


「はあ……ん、」
「もう感じちゃってんの?早すぎだろ、淫乱」
「っ…感じてないし、痛いだけ」


どう見ても痛いだけじゃねえけど、まあいいや。
どうせこれから追い詰めてくんだし。

出会った最初から、その人を見下すような笑みを剥がして泣かせてしまいたいとは思ってた。
もしかしたらそれは犯したいと思うのと同列だったのかもしれない。
小さな抵抗を無視して脚を割り開く。
程よく肉のついた尻を揉みほぐしながら、無防備に曝された奥まった場所を舐る。


「は……ゃ、だ…ぁ、どこ舐めて、」
「これから犯す尻穴、なあ、やらしく腰動かすなよ、煽られんだろ」
「ふざけんな、だれが、んっ……はぁ、」


唾液で舐めほぐしていくと、否定する声と共に悩ましい吐息が漏れるのが聞こえて、ぞくりとした。
お前被虐趣味あるだろ、じゃなきゃこんなんで感じねえよ。

ああ、それより経験あんだっけ。
僕に勝つこともあるこいつが、簡単にこうして弱みを他人に晒してた?
……やべえ、ダメだ、思ったよりクる。
強さを持つ者はいつでも強く気高くあるべきで。
だから、負けて弱ったアベリオンを見るのはそれより強い僕だけでいいんだよ。


「多少痛いだろうけど、お前そんくらいのが好きっぽいしいいだろ?暴れんなよ、手裂けるから」
「ひっ……ぁあっ!」


舐めさせて濡らした人差し指を宛がうと、びくりと身体が震えた。
つぷり、と先だけ挿れるもひどくきつく絞めてくる。
アベリオンは矢で脇腹を掻き回したときとさほど変わらないうめき声をあげていた。

指一本でこれかよ。
慣らさずブチ込めなんてよく言えたものだと思う。

拒絶してくる肉をかき分け、どうにか指一本を捩じ込んだ。
アベリオンは眉間にしわをよせて目をきつく瞑り、異物感にひたすら耐えるような顔をしていた。
ゆっくりと抜き差しを繰り返すと、目元からは僅かに涙が零れる。
暴れんな、とは言ったけどもっと喚くかと思ったのに。


「くっ……はぁ、う…」
「マジでおとなしいねお前、諦めちゃったわけ?」
「るさい、…ふ、思ったより……ぁ、きつ、いんだよ…」


少しずつ本音が零れてきてるのは、堕ち始めた証拠だ。
目を開いて振り向いて睨みつける目は涙の膜で潤んでいた。
目元は赤く染まり、青白かった頬も真っ赤。

羞恥と屈辱感を湛えながらもまだ、反抗心を捨てない瞳は、僕をたまらなく興奮させる。
目元に溜まり流れた涙を拭ってやるように舐めてやると、しょっぱいはずのそれが甘美に感じられた。
ああ、まずい、元から思ってたけど僕も相当狂ってる。



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