ぱちありがとうございますv


以下小ネタ(2/11入替)
ロジャー海賊団の日常話



ふむ。
レイリーは鏡を見つめて一言唸った。
鏡の中には当然自分の顔が写っている。
しかし鏡に写っている見慣れたはずの自分の姿に大きな違和感があって、レイリーはまたふむと唸った。レイリーの後ろには青い顔をした船員達と何かに耐える様にうずくまる船長の姿。
その腹を抱えてうずくまった船長の口からはくつくつと笑い声が漏れている。
もう一発殴っておくか、とレイリーは思い定めてくるりと振り向いた。青い顔をした船員達の顔色がさらに青くなり、船長は堪えきれないという様子でとうとう吹き出した。
「似合ってんじゃねぇか、相棒」
腹をよじり涙を浮かべながら大声をあげて笑うロジャーに、覇気は効かない。笑われて、ピクリ眉を揺らすとロジャーは床の上を転がり出した。本当におかしくて仕方が無いという様に笑い続けるロジャーに近づき、ゴインと頭に拳を落とした。それくらいで笑いを抑える男では無い事は分かっているが、一応怒っているフリくらいはしておく。
「いつまで笑ってるんだ」
「だって、なぁ…」
ようやく笑いを納めたロジャーだが、レイリーの顔を見るとまたヒィヒィと笑い出す。
「ロジャー」
「頭にそんなもん生やしてんだ。面白くねぇはずがねぇだろうが」
なあ、お前達。
そう船員達を振り返るが、さすがにレイリーを笑える者はロジャーの他には居なかった様でみんな曖昧に顔を逸らしている。
その様子に、レイリーは珍しく息を吐いた。それに呼応するように頭の上で何かがピクリと蠢く。
レイリーの頭には、猫の耳のようなものが生えていた。それが、レイリーの表情にあわせてぴくぴくと動くのだ。
レイリーも自分でなく他の誰かだったら大いに笑ってやるところなのだけれど、自分では笑うに笑えない。
真っ青になっている船員達の言うところによると、寄港地でおもしろいフルーツを手に入れたので試しに見習いに食べさせようとしていたらしい。それを、美味そうだなと横から取って食べたのがレイリーということで。
「で、そのフルーツでこれが生えたのか?」
「みたいだな」
さすがにクロッカスはまじめに頷いた。
「そのフルーツを売っていた店主の話では、フルーツの成分がすべて体外に排出されれば元に戻るので特に害は無いそうだが…」
あると言えばあるな。
と、ちらりレイリーを見たクロッカスは思わず視線をはずした。無表情でクロッカスの説明を聞いていたレイリーの頭の耳が少し垂れているのだ。
「ま、元に戻るまでの辛抱だな」
ぽんと肩を叩いたクロッカスに分かったよと頷く。
元はといえばうっかり手を出した自分に非があるわけだし、八つ当たりも大人げない。しばらくはこのまま過ごすしかないか、と頭の耳に手をやる。そうして、レイリーのおかげで難を逃れられた見習い二人に視線を向けた。
まだ年若いこの見習い達に猫耳が生えればさぞかし可愛かっただろうにと思うと、この二人にフルーツを食べさせようとした船員達の気持ちも分からないでもない。
ふぅと息を吐き、申し訳なさそうに突っ立っている見習いに近づいた。
「す、すみません…」
「お前達が悪いワケじゃないだろう」
「ですけど」
見習いのひとり、バギーがそろりとレイリーを見上げたが、シャンクスはフイとレイリーから顔を逸らす。笑いを堪えているのであろう、その肩が小刻みに震えていて、レイリーはシャンクスの頭をつかんでぐしゃぐしゃとかき回した。
「お前に生えた方がよかったか?」
「イデ、イデデデで、すんませんっ」
頭を撫で愛想笑いをするシャンクス。バギーはまだ、レイリーの頭をじっと見つめている。
「どうした、バギー」
お前も笑いたいのか?
そう言えば、バギーはぶんぶんと頭を振った。
「違いますっ、あのっ」
もぞもぞと口どもり、おずおずと上目遣いに見上げてくる。
「あの、えっと、さわってみたいなって、思って…」
ダメですよね。
言いながら少しずつ後ずさるバギーに、レイリーは少し考えてからバギーの前に膝を付いた。
「いいぞ。ほら」
触れやすい様に頭を傾けてやる。するとバギーはそろそろと頭の耳に触れてきた。バギーが触れるとレイリーの耳がぴくぴくと震える。
「うわぁ…」
すごい、ほんとに生えてる。と楽しそうに耳に触れるバギー。ふと見れば、頭を下げたためちょうど良い位置にバギーの首筋があって。
レイリーは密かに笑むとバギーの肩に手をかけて引き寄せ、目に入ったそこをぺろりとなめた。
「ひやぁっ!?」
途端に悲鳴を上げて飛びずさったバギーに、なるほど舌も猫の様になっているらしいと自分の舌に触れてみるレイリーだった。


獣の耳が生える(選択課題:ベタ)
お題:リライト


まさかのにゃんこレイさんでした
迂闊ですよレイさん(笑)


何かありましたらv