甘い死に歌
甘い死に歌5///
※名前変換なし
※チョコラータ成り代わり(女)
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「あんたが優秀な医者っていうのがさっぱりイメージできないよ、俺は。」
「イルーゾォ、この人ね……まじで優秀なんだよ。クビになったけど、些細な医療ミスの多発が理由。」
「医療ミスが多発ってどこが優秀なんだよ!ヤブじゃねぇか!」
「いや、あー、ううん、そうだね。医者としてアレかもしれないけど……。そうじゃなくてさ。」
「ギアッチョ、この女は医学部を卒業してから医者として勤めていたし、その間の評判はかなりよかった。実際、かなりの人数の命をつないできたのも事実だ。いくつか表彰もされている。」
「はぁあああ?!これが?!」
「リゾット、これ貰うぞ。」
「俺のカプチーノを飲むな。……それから、周囲の人間からの評価は常にかなりよかった。14のときにはボランティア活動で表彰されていた。」
「14…?ガキじゃねーか。そんな時から…?それがどうしてこうなるんだよ?!」
「逆だ。その時から、この女はこうだった。」
「……は?」
「14?……あぁ、老人ホームか?ああいう場所はいいぜ。部外者が邪魔してこねぇし、どうせ死ぬだけだからなぁ。最後までたぁっぷりと観察できる……。あの時は、毎日囁きかけてやってたかな。」
「……あー、リーダー、俺が悪かった。つまり、このゲスはもともとゲスだったんだな?」
「いや、気にするな。そういうことだ。病院からの解雇理由は医療ミスだがこういった行いは一つもバレていない。」
「それが優秀ってことかぁ……。」
「それ優秀っていわねぇだろーがよぉおおおお!!!!」
「お前らが怪我したら、私のところにくるといい。きーっちり治してやるよ。」
「あぁ、行かない。」
「何が何でもお前のとこには行かない。」
「死んだほうがましだ。」
「お前ら……本当に素直で可愛い奴らだよ……。」
勝手気ままな上司と部下。根本は分かり合えないなりに付き合い方はうまくいってたりして。
いっこ前のやつで挟めなかった会話です。
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「あぁ、そうだ。」
リゾットのカップとイルーゾォの席を奪い取ったチョコラータが思い出したように声を出す。何事かと、すでに解散していた面々がチョコラータに視線を向けた。
「報酬なんだがな。」
「あぁ?」
「上乗せしてやろうと思っていたんだ。」
「……十分、色は付けてもらってると思ったんだが?」
「それとはまた別で、だ。」
「どういうこと?」
腰元からひょいと取り出された財布に、ちらりとホルマジオが視線を向けた。隣に座っていたメローネが覗き込んで、うわぁと声を漏らす。きっと彼の財布の中身より多かったのだろう。
リゾットが怪訝そうに首をかしげたところで、チョコラータは何事か確認を終えたようだった。戻される財布に、メローネは視線が釣られている。ギアッチョがその後頭部をべしんと叩いた。
「この間のあれなぁ……生きたままでって注文したろ?」
「というか、あんたが一枚噛んでたのか。」
「おお、おかげでいい映像が撮れてね。」
「…………なに?」
「おかげでいい絵が撮れたと言ったんだ。上から与えられる検体にも限界があってね。せっかく、どうせ殺してもいいやつらがごろごろ舞い込んでくるんだ、また頼むよ。」
また、と言われて、誰も返事をしなかった。それに対して、彼女がどうこういうこともなく、それでと言葉を続ける。
「このあと用事はあるのか?」
「いや……今日は全員、非番だが。」
「ならよかった。お前ら着替えて来い、チェーナ(夕食)に行こう。」
行きたいところがあればそこでいいぞ、と言ったチョコラータに素早く駆け寄ったのは、さて、誰だったろうか。急に慌ただしくなった室内を見ながら、ここはどうだ、あっちはどうだと言い争う声に耳を傾ける。存外素直な彼らに、チョコラータは小さく笑いながら、大人しく腕を引かれて外へと出てゆくのであった。
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「それで、報酬がなんだったか。」
「またいいサンプルを捕まえてきてくれたら上乗せするって話さ。」
「気乗りしないが、気が向いたらな。」
「あぁ、助かるよ。」
▼蛇足:
チョコ先生は飴と鞭の使い方が意外とうまいんじゃないだろうか。と思いながら。とってもほのぼの。途中でセッコを拾いながら、暗殺チームの面々が話し合って決めたリストランテへと行くのです。
9人と2人で11人という大所帯ですけども、車は先生とギアッチョで半々かな。それでも多分、ミニバンレベルですけども。
mae ◎ tugi