僕たちの一生
煤けて崩れた愛の賛歌5///
▼秘密の死
怖い夢をみた。
ずっと一緒だと約束していた人と、離れ離れになる。
そんな、 ゆめ。
▼道化とお前は嗤うのか
ふつりと、何かが途絶える気配に振り向いた。
『ドッピオ……?』
横たわる青年の姿。その奥底に目が向く。
いってしまったのかと、喪失感の答えをそこに見た。
『……お前を見捨てでても、俺は……やらねばらない……!』
くっと手を握り締める。
まぶたを一度だけ伏せたのは、追悼であった。
『許せ、我が半身。』
ふと、声が聞こえた気がしたのだ。
さみしいと言うこともできずに言葉を飲み込んだ幼子の。
泣き顔を晒しながらも、栄光をと祈るその人の。
『この試練、必ず乗り越えてみせる……!』
別れを告げることはしなかった。
それだけが、彼にできる最後だった。
許せ、我が幸福。
mae ◎ tugi