僕たちの一生
煤けて崩れた愛の賛歌4///

▼子羊の歌が止めどなく
ゆるりと目を開ける。
重い瞼を上げることさえ、気だるい。
違和感はたくさんあったけれど、確かめることもできない。
寒い、寒い身体。考えるのもいやで、それでも、立ち上がろうとした。
たったそれだけのことも……できなかった。

「ボス…そこに、いるの……?」

どこを向いても暗い暗い。
姿も見えない。声も聞こえない。
だがわかってしまう。
もう、となりにいない、と。

「見捨てないって、った、のに……でぃあぼろの、うそ、き……。」

いつかの約束を思い返して、離れていく人の背に投げかける。
声と呼ぶにはあまりに小さな言葉が空気に溶けていく。
もうほとんど見えていない視界で、その姿を見た。

「でも、いいよ……そこに、る、なら……ぼくたちの、 勝ち、だ……。」

それでもまだ、ぞわりと嫌な予感がしてならない。
願わくば、栄光の勝利をと。永遠の絶頂を、と祈りを囁く。

「ひとりは、はじめて、だな…… さみ、しいよ……。」

はらり。目元に雨がひとしずく。

「…………でぃ、あ……また、お話…………………。」

どろりと意識が溶けていく。
心臓を夜に掴まれて、地面の温度に蝕まれていく。

いつかの夢を見た。
暖かな色の部屋で二人きり。
あの日の、暖かさに、笑った。




mae  tugi
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