夜の女王
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定位置となりつつあるリビングソファで眠るノッテがむくりと起き上がった。同時、ホルマジオがリビングの扉を開けた。
ノッテのすぐそばで彼女の頭を撫でていたメローネとリビングでテレビを見ていたイルーゾォ、すこし離れたダイニングチェアに座っていたペッシとリゾットもホルマジオとノッテに視線を向けた。
床に足を下ろしたノッテをみて、ホルマジオがメローネに声をかけた。
「メローネ、そいつの着替えは?」
「え? あー、俺の部屋。」
「了解。」
それだけ聞いて去っていくホルマジオの後ろをノッテがついていく。メローネは現状についていけず固まっており、他の面々も同様であった。
ノッテとホルマジオがリビングから去り、しばらくしてからである。髪からみずを滴らせたノッテがリビングに戻り、ドライヤーを手にしたホルマジオがその後ろをついてきた。
「待って待って待ってホルマジオどういうこと!?」
「あぁ?」
ぶおおお。ドライヤーの音がリビングに響く。
「あ、おいイルーゾォ、次シャワーあいたぞ。」
「え?」
「だからシャワー。早く入ってこいって。」
「あー、うん。」
ホルマジオが思い出したようにイルーゾォに言う。メローネがぽかんとホルマジオとノッテをみながら、ふたり揃ってシャワーを浴びてきたことに気がつき立ち上がった。
「一緒に入ったわけ!?」
「ぶふっ」
「ペッシ、大丈夫か。」
メローネが悲痛に叫ぶと同時、ペッシが飲みかけの水を吹き出す。そばに座っていたリゾットがさっとティッシュを差し出した。むせるペッシをよそにホルマジオは肩をすくめながら正面にすわるノッテの髪を乾かしていく。
「こいつ風呂場で寝ちまうんだよ。」
「え。」
「そうか……たしかに、数日寝てるようにも見えるしな。」
「そういう問題じゃないだろ?!」
納得したらしいのはリゾットだけで、ペッシとメローネはホルマジオをじっと見ていた。話しの中心であるはずのノッテはすでに船を漕ぎ始めており、ホルマジオはぺしりとその頭を叩いてどうにか起こす。
手馴れている。メローネがふたりの近くでうなだれた。
「そうは言ってもよ、メローネ。この間、風呂場でこいつすっ転んだんだぜ?」
しん、と部屋が静まる。理由など聞かなくてもいい。
ホルマジオは他に、ノッテとの風呂事情をいくらかぽつぽつと伝える。ペッシとメローネが赤くなったり青くなったりと忙しくしていたが、リゾットは努めて冷静にそうか、と顎に手を当てて頷いた。
「……仕方がないな、ホルマジオ、ノッテの世話は任せたぞ。」
「おう。」
適任だろうとリゾットは続ける。メローネが俺も、と言ったが誰も賛同することはなかった。
mae ◎ tugi