夜の女王
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メローネの部屋に入ってすぐ。まっすぐに置かれていたベッドの上に折りたたまれた白い服を見つけたホルマジオはそれを取って両手で持ち上げた。
ひらりと開かれたワンピースは、白一色のシンプルなものであった。しかし、白地にはいくらかの装飾がなされており、全く味気がないものでもないことにホルマジオは感嘆した。
「メローネの趣味だな、こりゃ。」
清楚系ってやつか。とぶつぶつといいながらホルマジオは足早に部屋を出る。リビングに戻るとノッテはちょこんと座ったままおとなしくしていた。
ペッシが来る気配はない。部屋にはいるようだったが、一体何があったのか、当面出てくる様子も感じられなかった。
ぼんやりと寝起きさながらに座っているだけのノッテが動く気配もない。頭に手を当てながらホルマジオはノッテを呼んだ。
「風呂の場所は聴いてるか?」
「知ってる。」
そうか、と軽く返事をしながらホルマジオが先に歩き出す。ちらりと後ろを振り向けば、珍しく両足を地面につけてノッテがついてきていた。満足したホルマジオがさっさと脱衣所に足を踏み入れる。ノッテは数歩先で足を止めていた。
「こっちこい、風呂は?一人では入れるな?」
一拍、奇妙な沈黙をおいてノッテが頷く。一度も目を合わせようとしないことに不安を覚えたホルマジオの直感は正しかった。
「……しょぉがねぇな……。」
ホルマジオはさっと素早くノッテを捕まえ、抱え込む。きゃっと驚いたノッテが悲鳴を上げるより先に、風呂場の扉を開けてノッテを放り込んだ。
ぽかんとしてるノッテをくるりと反転させ、薄く小さいタオルを渡しながらワンピースの裾に手をかけた。背中を向けさせたままさっと服を脱がせ、タオルで体を隠すように指示しながらシャワーを手にとった。
そこでホルマジオは驚いた。
「……下着はどうした。」
「……ない。」
冗談だろ。ホルマジオは引きつった笑いを零す。浴槽で背を向けて、ちょこんとすわるノッテに、ホルマジオは勢いよくお湯をかけるのであった。
mae ◎ tugi