夜の女王
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「リゾット・ネエロ。お願いがあるの。」
「なんだ。」
「私のことを守ってくれる?」
「……誰から。」

 突拍子もないと思いながら、リゾットは続きを促した。ノッテはまた目を閉じて、船をこぎながらリゾットに返事をする。

「あなたたちが知らないけれど知っていて、知らない方がいい男から。」
「……なに?」
「あるいは、うーん、たくさんから。」
「……メローネ。」

 すぅと寝息を立てそうな彼女の、的を得ていない回答にお手上げだとばかりにリゾットはメローネを見る。

「とりあえず狙われてるんだよ、レジーナは。色々知ってるからさ。だから守ってくれって。」
「……ノッテ。お前を守ったとして、俺たちになんのメリットがある?」

 なるほど、と頷いたリゾットがノッテに問いかけた。
 彼女はその黒い黒い目を開いてゆるく手を持ち上げる。指をすぅっと滑らせて、ノッテはぽつりとつぶやいた。

「近いうちに、死ぬよ。」

 指をさされたソルベとジェラート。空気がぴりと張り詰めた。



mae  tugi
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