夜の女王
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「まて、メローネ。」
「あ、リーダー。ただいま。」

 帰ってきたメローネと、その腕に抱かれてる人物をみて額を抑えてため息をついたのはリゾットであった。足早に廊下をすり抜けようとしたメローネを呼び止め、黒目がちなその瞳をちらりと二人に向ける。

「それは?」
「あー、しばらく俺の部屋に泊まることになったから、よろしくね。」

 色々と聞きたいことがあるらしいリゾットにメローネはにこりと笑顔を向ける。言外に、聞くなと言っているのである。じろりとメローネを睨みながら、仕方なしにリゾットは道を譲る。

「グラッツェ。俺、これからギアッチョ追いかけるけど、部屋に入らないでね。もちろん、起こしたりしないでね。」
「……説明はしてくれるんだろうな?」
「うん。放っておいてくれて大丈夫だから。」
「……わかった、おいていけ。」

 グラッツェ、とメローネがもう一度言いながら部屋に去っていく。リゾットはその後ろ姿を見送りながら大きく息を吐き出しリビングへと戻っていった。鏡から見ていたイルーゾォはちらとメローネが消えていった扉を見ていたが、やがて彼も立ち去った。


 メローネは、部屋に入ってすぐにベッドに近寄る。昨日のうち、まだ日付が変わる前に手早く整えたベッドである。ぴしりと整えられたシーツの上に、抱き上げていた彼女をそっと下ろす。
 寝息をたてる女は、彼からみてもまだ幼さが残る。ベッドに散らばる黒い髪をゆるくすきながらメローネは囁きかけた。

「じゃあ、ちょっとお仕事行ってくるからさ。見守ってて。」

 外はすっかり日が昇り始めている。室内はカーテンですこし薄暗いが、眠る少女の目元のクマははっきりと見えていた。

「いってきます。」

 メローネは彼女の目元にくちづける。そして、満足そうに部屋を出ていった。片付けられた部屋で、ただ彼女だけがのんきに眠り続けている。


mae  tugi
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