「はぁ…はあ…けほっ、はぁ、」
「なまえ!?しっかりしろ、」
「えへ、っへ、はぁ…、油断してた…、」
「だから、気を付けろって……薬は!?」
「薬箱のなかっ…げほっ、だったと思う」
喘息持ちで過呼吸になりやすいなまえ。
結婚する前からそれは知っていたし、何回か過呼吸になるなまえを見てきたけど、
あまりにも久しぶりに出てきたので、俺自身も、びっくりだ。
「これ……っ、飲めるか?」
「あり、がとっ…はぁ、だいじょ、ぶ、はっ、」
「無理して喋んなくていいから、な?」
ゆっくり吸って、吐いてーと呼び掛けながらなまえの背中を擦る。そうすると段々と落ち着いてきたみたいで、呼吸が整ってきた。本人は放心状態みたいで、俺の肩に頭を預けながら、ぼーっとしていた。
しばらくはなまえの背中を擦り続けていた。
「………ははっ、なんか久しぶりに哉太に助けてもらったなぁ…」
「うっせ、」
「昔から、哉太が一番先に私の異変に気付いてくれたような気がする…」
「っ、別に、そんな…」
「…ふへへ、」
「なーにがふへへだよっ!どれだけ心配したと思ってんだっ……!お前に何かあったら俺っ…」
「心配、してくれたんだ…
ありがとう、哉太…。」
「っ、結婚するときに二人で決めただろ!自分が体調悪くなったりしたり、ヤバイと思ったら、お互い隠さずに言おうって…
」
「…うん…」
「…お前のことだから、なんか考えすぎてたんじゃないのか?
なんかあるなら俺に絶対に言ってくれ…
仕事中でもなんでもいい、隠すことはしないでくれ…頼む……な?」
「ありがとう。
実は、自分でちょっとヤバイかなって最近思ってたんだ…
爆発しそうかなって
でも大丈夫って思ってて、…
甘く見すぎたんだね。今度からちゃんと伝えます。
旦那様っ。!」
「っ!?…」
「へへ、お礼のキス…!!」
----------失うときのことなんて考えられない
(その笑顔を失うなんて考えられない。)