■ハニーハニー 「本田おかえりなさーい」 「おう、ただいま清水」 「…って、もう違うんだっけ」 「あー…名字のことか?つい呼んじまうんだよなぁ…」 「うーん、クセみたいなものだからね」 「なんなら、試しに名前で呼んでみっか?」 「へっ?」 「ハハッ、なんてな。俺ら昔っからこうだし、んな急には…」 「…おかえりなさい、“ 吾郎 ”?」 「なっ、おま」 「うっわー恥ずかしい!なんかすっごいドキドキするコレっ」 「いっ、いきなりビックリさせんじゃねーよ!」 「はい、じゃあ次は本田の番!」 「はっ?」 「どーぞー」 「…………。」 「あのーもしもーし、無視しないでくれますかー?」 「…や、呼ぶとか言ってねーし」 「アハハ、冗談だよ。まーあたしたちだし、こういうのは無理しないでいいんじゃないの」 「………耳貸せ」 「え?」 薫の肩をぐいと引き寄せた吾郎は、そのまま耳元でささやく。目を丸くした薫はみるみる頬を染めていった。 「…聞こえたか?」 吾郎のそのひと言に、薫ははにかみながらもとても嬉しそうな表情を浮かべてうなずいた。 10年親しんだ間柄にはまだまだ慣れない呼び名がくすぐったいような気がして、お互いに頬が緩んでしまう。優しく愛しい気持ちで見つめあったふたりはそのまま自然と唇を重ねるのだった。 吾薫は新婚の頃はお互いのこと絶対にまだ苗字で呼んでそうですよね。 原作でも結局最後まで吾郎は奥さんの名前を呼べませんでしたし。 甘い雰囲気にしようとしてチュー絵までつけたという、自分にしてはかなり頑張った気がします。 |