■Like×Like=love∞?


「そんなに表情コロコロ変えて疲れねーか?」


先程から自分の行動の一つ一つに対して、百面相のごとく表情を変えている薫に、思わず吾郎は突っ込んだ。

「誰のせいだ、誰の!!!」

あんたがさせてんだろ!とばかりに薫は思いっきり叫び返す。

吾郎はそんな薫の様子を見ながら、

「ま、オレは嬉しいけどな」

と自らの頭の後ろに手を回し言った。

薫はその言葉に少しだけ落ち着きを取り戻す。

「…な、何でだよ…」

頬を少し染めたまま薫が吾郎に尋ねた。

「お前がまだ俺の事そこまで好きなんだ確認できて」

言った吾郎の口元には小さく笑みが浮かんでいる。

「…っ!」

その少し面白がっているような笑みが悔しくて、思わず薫は下を向いた。

「下向いちゃってどうしたんですかー、清水さん。」

吾郎がその笑みのまま、からかうような口調で言って、その表情を覗き込もうとする。

その瞬間。
薫は自分の表情を見せたくなくて。

がばっ!

絶対に表情を見られない方法を思いついたと同時に、それを行動に起こした。

「…!」

突然の相手に行動に一瞬吾郎の顔が動揺を見せる。

自分の身体に腕を回し、胸に顔を埋めたままの薫を一瞥すると、ふっと小さく笑みをこぼし、その頭にぽんっと優しく手を乗せた。
薫の首は真っ赤になっていて、手から伝わる体温は吾郎自身のそれよりもはるかに暖かい。







「顔見せろよ」

「…やだ」



吾郎の手が柔らかく薫の髪をすく


「…お前のそういう表情…好きなんだけどな」


至極優しい声音が薫の耳に響いた。

さっきから素直に言葉が出るのは少しずつ大人になれてる証拠なのかもしれない、と吾郎はふとそんな事を思う。もちろん二人っきりというのもあるとは思うが。

薫は吾郎の背中に回した腕にぎゅっと力を込める。


「…こういう時ばっかり、そういう事言うから…やだ…。」


その言葉に吾郎は小さく嘆息する。

「人前で言ったら言ったで、「こんな所でそんな事言うな!」って怒るだろお前」

ま、俺も恥ずかしくてあんま言えねーけど、と付け加えた後、もう片方の手で薫の背に優しく手を回す。

「…」

少し後、薫が吾郎の胸から少し顔を離し、



「…見せたらキスしてくれる?」







抱きついたまま、その瞳を上へ向けた。
吾郎の心臓はアクセルを踏んだようにその働きを早める。


「それ…交換条件にならねーと思うけど…いいのか?」

返事を分かりながらも聞く吾郎の手が薫の頬に優しく触れる。

「…いいよ…。」

その返事と表情、薄く染まった頬に吾郎の欲求は薫のそれを超える。

「…キスしたら…それ以上の事しちまっても…いいか?」

「!…そ、それって…。」

吾郎の発言に薫は思わず顔の赤さを増し、その表情をまた変える。
驚きと焦り、困惑の混じった、「初々しい」という表現そのままの表情。

吾郎は返事を待たずに、回した腕に力を込め、

「いや、わりぃ。やっぱそんな表情されたんじゃ我慢できねぇ。」

近かった距離を更に縮めにかかる。

「ちょっ…んっ!」

その口唇が紡いだ制止の声は、相手のそれによって見事に遮られた。




自分がどれだけ愛されてるか

それを確認する君が
それが分からない君が

そんな無自覚な君が

本当に本当に

大好きなんです。







挿絵担当が私、お話をもがみさんに書いて頂きました!

もともと何にも考えてなかったらくがきが、こんっな素晴らしいSSになって返ってきたので、読んだ時にはあまりの可愛さに悶えてゴロンゴロンしていました…うおお。
膨らませて下さった手腕を尊敬!ありがとうございました!!


●もがみさんのサイトはこちらから



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