■水仙薫る頃


「本田、水仙の花言葉って知ってる?」


突然にそんな事を尋ねる薫の手には、一輪の花。


「あのな、俺が知るわけねーだろーが。」

「『自惚れ』っていうんだって。…ということで、ハイ、あげる。」

「…どういう意味だ、テメー。」

「お前はいっつも自信過剰なんだよ。この花を見て、少しは反省しなさーい。」


薫はからかうような笑顔を返し、小さな花を吾郎に渡した。



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「あら吾郎、綺麗ねぇ。どうしたの、そのお花?」

「清水の奴に押しつけられた。何か知らねーけど、花言葉が自惚れだとか何とか…」


花を片手にブツブツ不満そうに呟く息子。母親は、小さな子に教えるような口調で語りかける。


「花言葉ってね、同じ花でも色によって意味が変わってくるのよ。」


そのまま少し面白そうに口を開いた。


「その黄水仙の花言葉は…『私のもとへ帰って』だったかしら。」

「なっ…」


絶句する吾郎に向かって桃子は続けた。


「大事にしなさいよ?その花も……彼女も。」


まるでたしなめられるように言われ、気まずい吾郎は赤い顔を背けてその問いには答えなかった。


(アイツは、知ってたのか…?)


今日の薫の姿を思い出しながら花を見つめる。
そして、何かを確かめるようにそのふんわりとした香りの良さをかみしめているのだった。







まだ付き合ってない頃の吾薫。

花言葉は、これを書く為だけに調べた、にわか知識ですのであしからず…。


ゴロカオ10題「水仙薫る頃」【配布元・NO GAME】




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