●ベースボールは終わらない


真剣な表情でにらみあう少年少女。

同時に口が開かれた。

「ジャーン、ケーン…ポン!」

それは掛け声の瞬間に決定するシンプルな勝負。

「だぁーっ、くそっ!」
「あたしの勝ちー♪」
「ハイ、じゃあゴミ捨ては本田君に決定だね。」

そばにいた小森が判定を下した。

「へへー、自信あったんだよな。本田って、はじめに絶対グーだすもん。」
「はぁ?何だそれ、知らねーよ!ズリー!」
「ほほほ。作戦だよ、作戦。」

納得いかないと言いたげに悔しそうな顔をする吾郎に、手をひらひらと振りながら薫は得意気に笑う。

「ほおー。さすがお前、本田のこと、よぉーく見てるよなぁ〜。」

隣にいた沢村が、いつもの如くニヤニヤしながらからかう声を出した。

「なっ…!」
「これがホントの恋女房ってか?あっちぃなーお前ら。いやー、今は真夏だったっけか、本田〜。」
「ああっ?るせーなぁ、お前はいっつもそんな話しかできねーのか…!」

からまれて居心地の悪い吾郎が赤い顔でつっかかろうとした瞬間。足が勢いづいて、ゴミ箱を思いきり蹴り倒してしまった。

「ああああーっ!」

集めたゴミがぶちまかれ、4人が声を揃えて同時に叫んだ。

「せっかく掃除したのに〜!」
「うわー…」
「だー!何すんだ、本田テメー!」
「わっ…、わざとじゃねーよ!」

そんな風に言い争う4人のところに間が悪くも担任教師が現れた。この惨状を見て声を荒げる。

「コラ!本田、清水っ、お前ら学級委員がまだ掃除やってないのか!?沢村に小森も!お前たち4人は…明日までに反省文を提出しなさい!」
「ゲッ!」
「ウソ!」
「マジ!?」
「ええーっ!」

4年2組からは今日も変わらず、賑やかな声が響くのであった。





お題は「ジャンケン」。web拍手に何書こうかと考えてるときに、斑鳩様にご協力頂きました。ネタをありがとうございます!

ジャンケンと言えばリトル時代かな、と妄想。薫嬢はアメリカ旅行を勝ち取ったこともあるし、吾郎は何となくジャンケン弱そうな気がしてこうなりました。たった1年間のクラスメイト兼、チームメイトですが…この4人が本当に愛しいです。



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