小説 | ナノ




君に贈るダリア
お昼休みを告げる鐘が鳴り、修了の挨拶を済ませば誰かは駆け出し誰かはその場に弁当を広げる。
給食の無いこの高校では弁当持参か購買部で買い物をする以外昼ご飯はない。
例に漏れず俺は自分の席に弁当を広げる、けして昼を一緒にする友人が居ないわけではない。

「飯食うぞー」
「まてっておいてくなよ森山!」

そう、こうして俺の席が集合場所なわけだから移動する必要がないのだ。

WCが終わり結果はどうあれ暑苦しい青春の部活は引退を迎え、皮のボールに乾燥した指が痛い等と言っていたついこの間までの俺が羨ましい。

「受験やだなー女の子とあそびたーい」
「森山、勉強しろ」
「遊べる女の子がいるならいいね」
「小堀もこいつの変なスイッチ押そうとすんな」

おかげで彼女ほすぃー!
等と大声出すもんで目立って仕方ねぇ。
うなだれる森山が鬱陶しいので話題を変えることにした。

「そーいや…こないだどっかで生徒手帳落としたみたいでさー」
「生徒手帳なんか落とすか?」
「わかんねぇよ、落としたんだから落とすもんなんだろ」
「意外と校内に落っことしてて誰か拾ってたりして」

と、ここで校内に呼び出し音がなった。
『生徒の呼び出しをします…3年笠松幸男、至急生徒指導室まで来るように繰り返します。笠松幸男、至急生徒指導室まで来るように………』
……は?

「ちょ、笠松なにやったんだよ
!」

森山と小堀の声が被った、被ったが明らかに二人の調子は違った。

「森山後でシバく…」

面白そうにしやがって…
しかも付いてくる気まんまんだ…小堀まで………

もう勝手にしてくれ…



「なんだー森山ぁ、お前はよんでねーぞ」

生徒指導室前にいた教師はバスケットでもかなりお世話になった武内先生だ。

「だって笠松がなにやらかしたのかと楽しみで楽しみで……」
「おまえ絶対シバくからな」
「…別に笠松がどうこうじゃなく面会だ」
「面会?」

今度は森山と俺が被った。

「昼休みも有限なんだ早くいってこい笠松」

面会者はいったい誰なんだとか何の用事なんだとか聞きたいことばかりだったというのに武内先生は俺を生徒指導室に放り込んだ。

のと同時に俺はよろけた体を強ばらせた。
そうするしかなかった。

目の前にいたのはやたら整った顔立ちの美少女。

「わぁ!!あえてよかった…先日はありがとうございました!」

俺と目が合うなり勢いよくお辞儀をした彼女はとても…とても…巨乳でした。


(んであれ、今こいつなんて言ってた?)



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