小説 | ナノ




酒はたまになら飲まれてもいいとおもう。
ピンポーン…ピンポーン…

「はぁい」

夜も遅く0時過ぎ、我が家のインターホンが鳴った。
なんとなく予想を立てて玄関までパタパタ歩く。

「白石せんぱーい」
「あちゃー…やっぱりかぁー」

その予想は見事的中、私の彼氏に肩を貸した黄瀬君がお疲れモードでそこに佇んでいた。

「やっぱり潰れちゃったかぁ」
「笠松先輩弱すぎっスよぉー」
「ごめんねー黄瀬君、あがってあがって!」

そう私はこの笠松幸男と付き合っており、同棲しており、本日懐かしい海常高校バスケ部同窓会であり…
私はそのために起きていたのだ。
何を隠そうこの人はとってもお酒が弱い
飲ませれば酔う、確実に。
そして必ず黄瀬君(お酒強いし、後輩だし…)が送り届けてくれる。

「いつもごめんねー今日も泊まってく?終電間に合う?」
「明日仕事なんで今日はタクシーで帰るっス」
「そっか、ありがっととと」

私の言葉を遮るように腰に腕が回され体重がのし掛かる。

……幸男だ。

「なぁにーゆきくーん」
「きせぇーなんでうちにいんだよぉー」

酔いで舌っ足らずな幸男の口からでたのは何とも辛辣な…

「送ったのにこの仕打ちっ」

黄瀬君はいつものことだと諦めたような顔で「真宵先輩あとはこの酔っ払いの相手よろしくっス」と足早に帰宅していった。

「重いよー」
「んぁ…さちこ?」
「はい、さちこですよーゆきくんとっても重いのでその腕はなしてくださーい」
「…………やだ」

でた…駄々っ子。
もうこうなると手に負えない何を言っても「やだ、やだ、無理、やだ、うるせー」このパターンだ。
仕方ないのでいつも好きにさせとく…のだが。

「………なぁ…」

珍しく話しかけてきた。
いつもなら好きにさせとくとそのうち眠るからこっそり抜け出して幸男に布団掛けて、私も寝る(ベッドで)のに。
どうしたんだろうか。

「なぁに?」
「なんか……仲いい感じ…だったー」

ん…?なんのこと?もしやおねむ?
しっかし背中にぴったり唇つけて喋ってるのか服越しでもくすぐったいわ暖かいわで…

「黄瀬とさ…なんか…たのしそーに…しゃべってた……じゃん」

え…なにこの人…まさか…

「嫉妬……?」
「んにゃ!?ちげぇーよ!!ばーか、ばぁーか」


あ、嫉妬か可愛いな畜生。

「そっかーでも私はゆきくんのが好きだからもっともーっと仲良くしたいなぁー」
「ふぁ!?ばっ…おまー……俺も…好き」

真っ赤な顔は多分、お酒なんかじゃなくて照れてるからなんだなぁーなんて、うとうとしたと思ったら寝てしまった、愛おしい寝顔を見ながら私は立ち上がり、たまには添い寝してやるか、と今日は恋しいベッドを後にした。




「幸男、好き」「んだよいきなり」「昨日は言ってくれたのに」「………好き」

(うわっ幸せだ!!!)



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