「はぁ…」 ついたため息が真っ白で寒さと乾燥がむなしくてこれからの自分の人生の見えなさがむなしくて。 どんなにがんばっても運というものはあるみたいで真面目に生活しても成績がよくても人望があってもそれでも壁にぶち当たって落ち込む背中を私はたくさんみてきてしまった。 高校生は楽しかった。 運動部(といってもマネージャーだけど)のむさ苦しい青春が今は輝いて見える。 そう言えば彼は元気だろうか(高校からの付き合いの彼氏をそう言えばというのもひどい話だけど)電話は毎日すれど最近は会ってもいない。 正直弱音も吐きたいだけど彼のことだから心配しまくって自分の大学の授業もあるのにあたふたしてなにかしらの失敗をするのが目に見えてる。 お前のために人事を尽くすのだよ。 とかいいそうで一人クスリと彼を思い出して幸せになった。 まぁ…その前に自分の人事をつくせって言うね。 「せんぱーい」 灰色のコートにチェックの大きなマフラーをしたお洒落な男の子が手を振ってる。 「高尾くん?」 「お久しぶりです!」 ニッコリ笑った彼だが非常に不味いことになった、高尾くんのせいで男率が圧倒的に足りない我が女子大がプチパニックである。 めだちたくない………っ 「どーも、元気でした?」 「元気だったよ?」 「あーホントだ……てか」 高尾くんは肯定の言葉とは裏腹の表情をしてキャンパスの正門をみた。 「いつまでそこにいんだよー真ちゃん!!」 「え、」 正門の脇からそっと顔をのぞかせた懐かしい顔。 「高尾こそなにをやっているのだよ!此処は女子大であって男が踏み入れてはいけない土地なのだよ!!」 と相変わらず頭の堅い彼は真っ赤になりながら高尾くんを指さしていた。 「恥ずかしくて入れない言い訳が雑すぎるって!真ちゃーんその理由だとこの大学の男性教授はどーなっちゃうのー」 「うるさいのだよ高尾!」 「あのーわかったから…取り敢えず目立たないでぇ」 真ちゃん、こと緑間真太郎はよく言えば真面目、悪く言えばおは朝信者、社交的に見えて全くそうでもないしとっても不器用。 でもそこがなんだか可愛いいというか母性本能くすぐられると言うか…。 「行き掛けにカフェあったんでそこにしましょうかー」 高尾君の提案で取りあえずこの場を回避し大学の近くのカフェに3人で入った。 高尾君が先輩奥どうぞってソファに誘導してくれてお言葉に甘えて座る。 その前に高尾君が座る。 そこまではよかった。 ナニコレ3者面談…? 私の隣に緑間君、そして私たちの前に満面の笑みを貼り付けた高尾君。 「ぶっ…ぷふっ」 高尾君が笑いを堪えきれてない。 「なんなのだよ高尾!」 「いやさー真ちゃん、自分の彼女だからって当然のように横に座るからさー、普通こっちっしょー」 相変わらずくすくすしてる高尾君は自分の横をぽんぽんしてる。 私もそう思うよ高尾君、この状況の普通の男子の心理って恥ずかしいから男友達の横に座らない? ガタッと立ち上がった緑間君。 しかし再び、私の横に座り直す。 「いや、間違って無いのだよ!俺の彼女だから間違って無い!」 「ちょっ」 「そうだねー」 私が緑間君に突っ込みクスリと笑った瞬間高尾君が「そうだねー」と緑間君を肯定した。 「……やっとだな」 「え?」 「やっと何時ものさちこなのだよ」 緑間君がめがねの位置を直してふぅ、と肩の力を抜いた。 「えっと…え?」 いってる意味が分からず疑問符を投げかける。 「昨日の電話の声がいつもより元気がなくて、心配したのだよ」 「ほ…え?ほんとに?」 気付いてくれてた、私の心の変化を。 電話なんて声しかわかんないのに、あぁ今すっごく幸せだ。 「真ちゃんかっこいー…こといってるけど女子大1人は怖いからついて来いって言ったのだーれだっけー」 「そんなこといってないのだよ!高尾もいたほうが喜ぶと思ってだなっ」 「はいはいそーでしたねー…でもホント会ってみたらマジ元気無さそうだったし真ちゃん会いに来て正解ー」 2人の茶番はいいとして…それで高尾君は「ホントだ」といったのか高尾君まじHSK…いや彼氏は緑間君だけど… 「まー電話なんかで先輩の変化に気付いちゃうんだから真ちゃんまじ溺愛ね」 「うるさいのだよ!」 「ありがとね」 「いや…あ…うむ…さちこの為に人事を尽くすのは当然なのだよ!」 「っぷ」 あまりのテンプレにまた私は笑わされて、こういう所も好きだなーなんて。 頑張ろうって思えた。 これからも支えてくれる?…当然なのだよ。 (うん、頑張ろう!) |