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青春エンヴィー
「あぁー黄瀬くんかっこいいー」
「ありがとうッス」
「シャララ感がヤバい!」
「えへへー…で、その黄瀬くん目の前にいるッスよ?」
「お前は偽物だ」
「ホンモノ!寧ろこっちがホンモノ!」

ここは海常高校三年の私のクラス、因みに休み時間だ。
今朝コンビニに立ち寄って買った女性用雑誌、表紙に「今をトキメクモデルキセリョ特集!!」なんて目に入ってしまったもんだから買ってしまったのだ。

「さちこ、あんま黄瀬をいじめてやんな大事なエースがメンタル傷ついても困る」
「俺、そんなにヤワじゃないっす笠松先輩、それに俺はいつもシバかれてメンタル意外傷ついてます!」
「んじゃここでタンコブ増やしてやろうか」

「理不尽っ」とか人のクラスで騒ぐ男共を尻目に雑誌を捲る特集されててページが五枚にも渡ってる。
インタビューの内容のページのライターとのやり取りが結構面白い、おや…バスケットの話になった。
「同級生に強い人が居て憧れて始めたバスケ」だとかこれ青峰くんじゃん、知ってる人の話を知り合いが雑誌でしてるって面白い。
続きを読むと「だけど今は憧れの人変わったッス〜」黄瀬くんに対してライターが「どんな人?」なんて聞き返してて次の黄瀬くんの言葉に未だ言い合い(たまに笠松の手がでる)を眺めた。
「バスケ部推薦で入ったんッスけどそれでも俺を甘やかさないで引っ張って言ってくれる人でバスケット抜きにしても人として尊敬してる」なんて笠松じゃん。

なる程、最近笠松によく絡むようになった黄瀬くんにそういう思いがあったとは、しっかしくっつきすぎである。
私としては非常に鬱陶しい目の上のたんこぶ、私にたんこぶ出来てるぞ笠松、おい。
何たって笠松は私の恋人だ、一年の頃にマネージャーはじめて笠松に一目惚れして最初ギクシャクしたものの何とかつき合えるようになったのがついの前の二年の終業式なんのとりえもない平凡を絵に描いたような私が一生懸命頑張ってやっと。
だと言うのに黄瀬くんは少しもしないでこんなに仲良くなってしまった、いくら女苦手で私のハードルの方が高くても先輩と後輩のハードルだってそこそこ有るんだから簡単に越えないで欲しい、コミュ力凄まじいな黄瀬くん。

「笠松、これ読んであげなよ」
「あ?なんでちょっと不機嫌なんだよ」
「黄瀬くんに嫉妬なうー」
「何でッスか!?」
「笠松とられたー!」
「はぁ!?取られてねーよ!」
「白石先輩可愛い!いてっ!」
「黄瀬ふざけんなシバくぞ」
「もう殴ってるっ!」

もうしっちゃかめっちゃかで周りの生徒もあまりにやり取りが大袈裟だから注目し始めている(勿論黄瀬効果もあるけど)笠松がため息をついた。

「さちこさ…俺も嫉妬したんだけど」
「え?なんで」
「黄瀬かっこいいつったろ彼氏の前で言うかフツー」
「あ、ごめん笠松の次にって言うの忘れてた」
「ばっ、バカか…それとその笠松ってのなんとかなんねーの?」
「だって恥ずかしい」
「俺だって恥ずかしかったわ!だけどそう言うのちゃんとしねーと付き合ってるのにさ…」

段々顔を赤くしながら声が小さくなる笠松がとっても可愛い。
そう言えば笠松は私を名前で呼ぶ、いつの間にか、余りに自然に呼ぶから気にしたことなかったけど笠松も恥ずかしかったのか。

「幸男?」
「い、いいいきなり呼ぶなよ吃驚した」
「わー、ごめん」
「あとさ告白されといて言う事じゃ無いけど俺の方がお前のこと好きだから」
「え、」
「お前はそーやって黄瀬とかかっこいいって概念あるかも知んないけど俺はお前以外可愛いとも思わねーよって事」
「それは幸男が女子苦手っていう…」
「いいんだよ!つーか素直に喜べバカ」
「いや、だって恥ずかしくて誤魔化しちゃった」
「あの、俺いたたまれないッス」
「「あ」」

完全に黄瀬くん忘れてたごめん黄瀬くんだって幸男がすっごくかっこいいんだもん!黄瀬くん悪いけど目じゃないよ!男前過ぎる幸男かっこいい!

「って事だから黄瀬、ハウス!!」
「うわぁあん小堀先輩ぁああい」

幸男のハウス発言に黄瀬くんは泣きながら教室を出て行って小堀のクラスに行った(多分)

「んで?嫉妬はどーなった」
「幸男かっこいい…」
「お前なぁ…まーいいや、んで雑誌は?」
「あ、これこれ、この部分の人として尊敬って幸男の事だよね」
「………かもしんねーけどこれさちこもじゃね?」
「え」
「よくわかった黄瀬あとでシバく」
「ねぇどーいうことー」
「黄瀬がなんで休み時間俺の所じゃなくてお前の所にくるか考えろバカ、後この雑誌没収」
「なんで!?」

雑誌は没収されコンビニで立ち読みしようかと思ったら売り切れでめんどくさくなって諦めたのだった。



(雑誌の最後、目について没収したが最後の好きな人はいますかって質問に「いるッス、尊敬する人の一人で片思い中なんッス」とか書いてあったのはさちこが読んでないのが幸いだ……さちこ妙にモテやがってこっちのが嫉妬だわ)



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