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Underground Justice3
部活動紹介が終わりガヤガヤとざわめきたつ教室への帰り道、先程の金髪ヤンキーはガラスを割ったことによるお咎めを食らっているのだろう部活動紹介中は見あたらなかった。
さちこについては涼しい顔で次々と紹介される部活を見ており火神は興味なしか眠っていた。

「日誌、かけた?」
「え…あ、はい」

教室までの帰り道で黒子に声をかけたのはさちこだった黒子はぼーっとしていたので少し肩を振るわせた。
黒子はここで少し違和感を感じていた、正体不明の違和感。
さちこは相変わらず表情をかえず「なら直ぐ生徒会室に行けるわ」なんて悠長にしていた。

教室に戻りホームルームが終われば放課後、黒子は持っている日誌を担任に預けてさちこの席へむかった。

「黒子君悪いけど一回火神の教室寄るわね…あいつ絶対寝てるから」
「それは構いません」
「まぁ…それでも先輩たちより先に付くとは思うけど」

さちこは口先を上げて笑い黒子と共に火神のクラスへ向かった。
案の定火神は机に突っ伏していた。
さちこは軽くため息をついて火神の机を蹴った。

「んが!…さちこ、お前なぁ蹴るこたねーだろ!」
「何、優しく起こしてほしかった?」
「それは……気持ち悪いな」
「よし、後で表でろ」

二人が睨み合ったとこで黒子がまぁまぁ…と輪って入りなんとか本題へ移行する為に教室を出た。
三人で廊下を歩いている間何人かの視線を食らったのは恐らく先程の事件の当事者だからだろう。

「つーかお前もここだっつーなら教えてくれてもよかっただろーが」
「いいじゃない、吃驚したでしょ?」
「んだよそのチンケなドッキリはよ」
「それとも嬉しかった?」
「……別に」

火神が自分より小さいさちこの為に向いていた首を前に戻して頬を少し掻いた。

「あの…火神君とさちこさんはどういった…」
「中学校一緒なのよ」
「俺がこいつの中学に転校してきてからの付き合いだな」
「仲間、なんですね」
「まーね」

他愛のない会話も目の前に生徒会室のプレートがみえたところで終わりになった、黒子は少し緊張した面持ちだったが前を歩く二人は全く動じていない。

さちこが鍵をポケットから取り出し生徒会室の扉を滑らせた。

「おじゃましまーす」
「誰もいねーんじゃん、つかなんでお前鍵持ってんの?」
「ちょっとね、知り合いなの…ここの頭と」
「……」

三人は生徒会室にそれぞれ全く別の面持ちで入っていった、黒子はそわそわと辺りを見渡していた。
何の変哲もない長机がおいてありホワイトボードにマーカー、部屋は片付いており塵一つ落ちていないそんな生徒会室。
ここがヤンキーのたまり場なのか、黒子は疑念で一杯だった。

カチリ、音がして蛍光灯に明かりがともり部屋は白く鮮明になった。
火神がカーテンをあけて窓を開いて換気を始めた、それはまるで普通の光景で黒子の知らないものだった。

「あの…ここは」
「たまり場」
「そーは見えねぇって事だろ?」
「もっと…こう荒れてて、落書きまみれの地下室みたいな…」
「やぁーねぇ只でさえ地下で地下室なんてカビかキノコじゃないんだから…」

急に聞こえた知らぬ声に黒子が勢いよく振り返る。
そこにはスカートこそ短いが綺麗に着崩していない制服をまとった少女がいた。

「久しぶりさちこ、それと火神君だったかしら?はじめまして相田リコよ」
「リコさんお久しぶりです、それともう一人いますよ、黒子テツヤ君です」
「嘘っあらーほんとだ…陰薄いわねぇ」
「はじめまして、黒子テツヤです…あの…」
「カントクー新入生いるぅー!?」
「コガあんま勢いつけっと……言わんこっちゃないー」

黒子の声を遮るように声が聞こえたかと思うとその影は扉の前を取りすぎて向こうの方でべちゃりと鈍い音が聞こえた。

「鼻うった…」
「ダァホ!慌てんなつったろーが」
「………」
「水戸部…大丈夫、ありがとう」

水戸部と呼ばれた優しそうな巨体の男に手を貸されて立ち上がったコガ…こと小金井は無口な水戸部の言いたいことが分かるのかお礼を述べた。

「アンタらねぇ…」
「まぁまぁ…さてはじめましておれは伊月俊」

最初、小金井を止めようとしていた男だスタイリッシュな見た目の優男…だが。

「まぁまぁ…って言い訳くらい無いの?」
「っは!……言い訳いっていいわけ?」

一瞬でリコが伊月の頭を殴って鈍い音がする。
黒子と火神もポカンとしている。

「伊月、お前もうだまれ…俺は日向、別に呼ぶ必要ないし苗字だけで良いよな」
「はじめまして」

ダァホ!と小金井を叱ったメガネの男に黒子は丁寧にお辞儀をする。
釣られて火神も会釈をした。

「おれ小金井!んでこっちは水戸部!」
「……」

微笑みながらお辞儀する水戸部と人懐こそうな小金井の挨拶が終わり、リコがそれから、と続けた。

「ここには居ないけど土田君ってのと鉄平ってのがいるから土田君は今お使い頼んでていないのよそれと…鉄平は諸事情で暫くいないから」
「つーかさちこ久しぶりだな!」
「日向さんも皆さんも久しぶりです」
「ここに顔出さなくなって暫くだね」
「伊月さんのダジャレは相変わらずですね」
「もー言ってやって言ってやって!緊張感無いんだから…」
「お…おい」

完全に置いてけぼりを食らった黒子と火神だったが火神がなんとか好きを見て口を挟む、火神もさちこがこの高校の生徒と親しいなど聞いたことがなかった。

「あぁー言ってなかったね、さっきリコさんの言ってた鉄平って人のファミリーネームは木吉、これでわかったでしょ」
「は、じゃあお前その人の…兄弟?」
「いえーっす」
「え…どう言うことですか?」
「黒子君、私君の席の真ん前なんだけど自己紹介聞いてた?」
「いや……えっとすみません…」

黒子の謝罪も余り意味なさげにさちこは全く気にしてないようでにっこり笑った。

「木吉さちこ、それが私のフルネームだよ」



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