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歳の差は埋められないのに、そんな言い方ずるいです
さちこさんのカレーはやっぱり美味しかったです。
それからさちこさんの……やめておきましょう、思い出すだけで胸のあたりがざわめきたつ。

さちこさんはあんな事があったあとでもいつも通りでした。
無かったことにしようとしているわけではないと思うんです、それなりにスキンシップは減った気がします、ただ…それ以外は今まで通りというのが僕の心を抉るのです。

意識されてないようで。

「さちこさんおはようございます」
「おはよー」

学校までの道のりで見慣れた後ろ姿がみえて声をかければいつも通りのさちこさんの反応、僕はさちこさんの気持ちが知りたくてスッと息を吸う。

「あの、返事聞かせてほしいです」
「え、なんの?」
「僕の告白無かったことにするんですか?」
「それか」
「それです、テヘペロみたいな顔してもダメです誤魔化されません」
「くぅー」

これ以上はぐらかされるのは流石に悲しいです。
ダメならダメな理由が聞きたいです。

「僕とお付き合いしてください」
「……嬉しいんだけど」
「僕が幼馴染みだからですか?」
「違う…」
「そうでした当時さちこさんは幼くなかったです」
「うん…そうじゃなくてね…テツヤには私じゃないと思うんだ」
「どういうことですか?」

さちこさんの歩みが止まる。
見たこともないほど辛そうな顔をしていた。

「私はね、もう決めないとイケナイ歳なの、遊んでいられないの、もしテツヤが私と付き合うってなったらテツヤにも将来を決めて貰わないと困るの、それってまだまだ沢山の可能性のあるテツヤの未来を奪うことになるの…私はそれが嫌だ」

さちこさんは真っ直ぐな瞳でそういった、嘘偽り無く、相手に自分が伝われって眼差し、僕は何回もこの瞳に心を捕まれていた。
これはさちこさんの本当の気持ちだ、僕の為に今でやってきた所謂親近の心…だけどそんな気持ちは今聞きたい事じゃない。

「………僕にとって不幸なのはさちこさんに歳の差なんかでフられることです…さちこさんは僕をそういう対象としては見れませんか?見れないなら頑張って男を磨きます、でももしそうじゃないなら……僕の将来とかどうでもいいんですさちこさんの気持ちを教えて下さい」

長い沈黙。
そして再びさちこさんは僕を見つめた、今度は瞳が揺れていた。

「テツヤを男として見てなかったらこんなに悩まなくて済んだのにね」

泣いているような、困っているような、笑っているような、それでいて怒っているような…何ともいえない顔をして溜め息をついたさちこさん。

「本当にそれでいいの?」
「はい、それがいいです」

さちこさんのいまだ晴れぬ表情を僕は何時か晴らしてあげたい。



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