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君に贈るダリア6
中学生の頃、学校にアイドルをやっている子がいた。
容姿が抜群で、性格もいい子で私は彼女が大好きだった、しかし中学生という子供心は大衆と違う人間を受け入れがたいモノなのだろう…そうでなくてもあまり学校にこれない彼女をほかの子達はよろしく思っていなかったのだろうか無視をしたりキツくあたることがあった。
それでもアイドルの時は可愛い顔で笑い、友達はたくさんいます!と自分を応援する者を悲しませない嘘をつく。

何か彼女の為にしたい。

私は彼女にノートを作った、私にはたくさん時間があったからだ、特に部活も入っていなければ、趣味もない。
親が喜ぶから勉強しかなかった、周りより少し頭が良かったから授業のノートを2枚作るのなんてたやすかった。
それを先生に渡して彼女の家に送ってもらった、最初は手紙が来た、忙しいのに丁寧な字で「ありがとう!とっても嬉しいです」と短い内容だったけど私も嬉しかった。
私がノートを作りそして彼女から手紙が来る、それが暫く続いたあとに、彼女が学校へ暫く通えるようになった。
勿論一番最初に彼女は私にお礼を言いに来た、そしてお礼をしたいからとお家のパーティーに呼ばれた、最初は恥ずかしくて断ろうかと思ったけど、彼女を裏切ることは出来なくて了承した。

パーティーの日、彼女の大きな家には彼女のアイドル仲間やその他お世話になってる事務所の方が何人も居たて私は驚きで一瞬顔をひきつらせたのを覚えている。
彼女の母親は私が呼ばれた理由を知っていてとても感謝していると述べた。
ほかのアイドル達も純粋な子が多くて、想像よりもプライベートがギクシャクしてなくて安心した。
沢山お話して、沢山笑って、芸能人っていいなって思ったときにその場にいたアイドル事務所の人が声をかけてきた。

「君、読者モデルやらない?」

そう言ってきたのだ、勿論自分の容姿なんて気にしたこと無いし、モデルなんて出来るような体型じゃない。
そう言ったのだが。

「大丈夫、さちこちゃん可愛いしうちの雑誌は露出しないからかわいい服が似合う子、を探してるんだよ!」

なんて彼女までいうから親に、相談してみます。そう言ってその日のパーティーは解散した。
親に相談とは言ったけれど両親のことだ人生経験がどうとか言って了承するに決まっていて現にそうだった。


そして、私の世界はかわった、大変なことも沢山あったけどそれでも彼女達のように誰かが私で感動する、そんな瞬間が大好きで、歌手も始めて楽しいことばかりだった。

誰かに親切にすること、そしたら必ず恩返しがくる、私は親切にしてくれた人には恩返しをしたい、私が敬愛する彼女のように。




なかなか思い付かない恩返しの方法に私は行きつけの楽器屋で頭を捻った。
ギターの弦を買うためにやってきたわけだが最近頭の中は笠松くんへの恩返しでいっぱいだからだ。
ふと店の扉が開いて冷気が入ってきた、何の気なしに其方を見ると。

「か……笠松くん?」

とっさに隠れた私だったが、今は深くマフラーとニット帽をかぶりサングラスもしていてバレることはないだろう。
そして笠松くんを観察することにしたのだ。
彼は楽譜や弦を見ていていくつか手に取ったりしていた、趣味はギターなのかもしれない。
そしてある場所で暫く止まり、そしてなにも買わず店を出て行った。

「彼ねーいっつもなのよ」
「へぇ…ってえぇ?」

いきなり知り合いの店員さんが話しかけてきたので吃驚してしまった、が私は笠松くんの立っていたところへ足を運んだ。

「ギター…」
「ギター好きなら憧れよねぇ…」

そう、笠松くんが居たのはギター…しかもアコースティックギターといったらブランド中のブランド、ギブソンの前だった。

「彼、高校生でしょう、バイトすれば買えない額でもないけど」
「バスケット…」
「へぇー彼バスケ部なの、海常高校の制服だしバイトできないのね…納得」

そう、ギブソンでもまぁまぁ買えない額でもない物が売ってたりする、しかし高価なものではある。
バイト出来ないほどきっと部活を頑張ってるであろう(黄瀬君が笠松先輩はキャプテン!っていってた)からギブソンは手が届かないのだろう。

そして私には買える。
昔から趣味もないし金のかかることはあまりしないでいた、貯金だって沢山あるし、正直買ってしまっても何も痛くない。
けど笠松くんは遠慮するだろう、だけどこれくらいしか…命を救ってくれたんだもの……
そう思って、私は決断したのだった。




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