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君に贈るダリア2
ガラガラ…ピシャッ

豪快な扉の開閉音と共によろけるように入ってきたのはお目当ての男の子。

「わぁ!!あえてよかった…先日はありがとうございました!!」

そう言って顔を上げると目の前の男の子は固まって口をパクパクさせていた。

どうしたのだろうか…もしかして覚えていないのだろうか。

「あの、1週間くらい前なんですけど…」

思い出してもらわねば恩返しもできない!
そう思って1歩踏み出した瞬間。

「わっ大丈夫……ってわぁ!?」

目の前の男の子は腰を抜かしたように後ろに倒れさらにその後ろの扉からはこれまた豪快な音と共に人がなだれ込んできた。

「面会者が女の子なんて許さんぞ笠松……ってあれ」
「ちょ!なにやってんッスか森山先輩……ってあれ」
「2人ともなにやってんのーもー…あ」

入ってきた3人は私と男の子(笠松くんと言うのだろう)を見比べて驚きの声を上げた。
何故なら私が自分で言うのもなんだが。

「もしかして…歌手のさち?」

切れ長の目をした優しそうな男の子(さっき森山先輩って呼ばれてた)がそう言った。

そう私は芸能人であるのだ。

「あはは……」
「さちっち!!」
「あれ……黄瀬君?」

そしてさらに見知った顔の男の子。

「海常高校…そっかーここ通ってるんだね黄瀬君」
「おい、どういうことだ!!」

暫し黙っていた笠松くんが黄瀬君に怒鳴ると横にいた森山君が驚いたような顔して。

「歌手のさちはモデルもやってんだよ!みろよあのプロポーション……合法ロリ……」

最後イケナイ言葉が聞こえたけど知らぬふり知らぬふり…

「しらねぇよつか歌手って…っ」

一度此方を見ようとしてすぐそっぽを向いた笠松くん。

「あー…さちっち、笠松先輩は女性が苦手なんッス」
「えぇ!ごめんなさい!」

だから私が近づいて腰抜かしたのか…

「んーと、今日はお礼もあったんだけど…これを渡しにきたのね、黄瀬君これ笠松くん?に渡しておいてくれるかな?」
「え?あぁーはいッス……これって」
「生徒手帳じゃん…」
「わー見つかってよかったねー笠松ー」

扉の向こうにいた背の高い男の子が「ありがとうございます」と続け頭を下げた。

ふと腕時計をみれば少し時間がヤバい。

「あの時は本当にありがとうございました!なんらかの形でお礼はしますので今日は落とし物を届けにきただけで失礼します!」

私はこのあとの用事も時間が迫っていたので海常高校をお暇する事にした。
でも、必ずお礼はさせてくださいね。

私の命の恩人笠松くん。




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