浦原少年に歴史系逆トリのお決まり、文明の理器の説明をさささーっと行えばこれまたさささーっと覚えてくれた。このハイスペック六歳児の理解力と頭脳に関してはもう何も言うまい。…将来を考えれば仕方ない事だとは思うんだけど、お姉さん、勉強面とか負けてる気がしてならないよ。
まあそんなこんなしてたらとっくに昼過ぎてました。これまたお決まりのお買い物は後々行くとして、昼食だよね…何食べようかな。個人的にオムライスが食べたい。卵あったし確か前に料理しようと思って買ったデミグラスソースあるし…うん、決定。浦原少年はガリガリだし、栄養あるもの食べさせたいからね。



「よーし。一段落したので昼食作ります。喜助君はそこに座ってテレビ見ててねー」


「わかった!」



そういえば、浦原少年と会話してて気付いた事がある。彼は基本的には原作通りの口調だけど、所々子供らしくタメ口になるんだ。敬語で〜っス、っていうのが浦原喜助のイメージだから何だか新鮮。そうだよねー、子供だもんねー、と何だか微笑ましい気分にもなる。
ていうか喜助君、じゃなくて他の呼び方を本気で考えようと思います。もう違和感が凄い。人間何年間も呼んできた呼び名はなかなか変えられないものです。だからやっぱりあだ名とかで呼ぼう。本人がオーケーしたらだけど。
そんな事を考えながらオムライスを作っていく。最近はお惣菜買って食べる回数が増えていて料理自体久々かもしれない。浦原少年がいる間はしっかりと栄養があるものを食べさせたいし、料理しなきゃなー。うん、これはこれで料理スキル上げるいい機会になるかも。



「…よ…っと、」


ご飯を炒めソースを作って、気付けば後は卵だけという状態に。私は卵がふわふわとろとろなのが好きなので、迷わず半熟にした。浦原少年も気に入ってくれるといいなー、なんて。
後は盛り付けだ。ソースをかけて、お皿に付いたソースは軽く拭いて…っと。うん、完成。



「出来たよー!」


「わあ…!」



浦原少年に声をかけながら完成したオムライスを運べば、彼は目をキラキラさせた。スプーンと水、適当にちぎったキャベツとトマトのサラダもテーブルに並べる。私も浦原少年の隣に座って…と。


「……さ、食べよっか」


「うん!」


「いただきます」


「…いただきます?」



首を傾げながら復唱する彼に、ああ、と納得。いやだって日本人がいただきますって言葉を言いはじめたのって意外と最近なんだよね。浦原少年って百年以上昔の人間だし、知らない方が普通。何で詳しいかというといただきますイベントは歴史逆トリでありがちな話だからです。まさか役立つとは思わなかった、夢小説知識。ありがとう夢小説。



「いただきます、っていうのはね。私達は動物だったり魚だったり植物だったり…色々な生き物の命を貰って、それを食べて生きてるでしょう?だから、命を頂きます、それに感謝しますって意味で言うんだよ」



小さい子供には難しい話だけど、それは問題ない。相手は浦原少年だからね。頭の作りが違うのだよ、頭の作りが。思った通り、最初ぽかんとしていた彼はすぐに納得して頷いた。流石です。



「…いただきます」


「うん、いただきます」



小さな声のいただきますの後に続いて、私の二回目のいただきます。さっきの私を真似してるんであろう、きちんと手を合わせて言う姿はとっても可愛かった。
スプーンも見るのは初めてだろうから説明しようかな、と思ったら彼はきちんと握ってた。どうして知ってるのかと聞いたら、さっきテレビで使ってるシーンがあった、との事。…本当、流石ですとしか言いようがないです隊長。
そんな私の心境は全く知らず、浦原少年がオムライスをスプーンで掬う。そして、口へ。



「…どう…かな……?」



内心ドキドキしながら感想を求める私。いや、これで口に合わないとか言われたらガチ凹みするからね。どうしたらいいかわからないから。二秒くらい固まる浦原少年にこっちは心拍数上がりまくりだ。なにこれこわい。
と、じっと彼の顔を見ていたら…急に、本当に急に満面の笑みになった。そのままぱっと私の方を向く。



「…おいしい!!ぼく、こんなおいしいものをたべたのはじめてっす!ほんとにおいしい!すごくおいしい!」



何回も美味しい、を連呼して凄い勢いでオムライスを食べる浦原少年にほっとする。同時に、何だか嬉しくなった。だって、警戒してた彼が無邪気な笑顔を見せてくれたんだ。本当ににっこりと笑ってくれた。それが、とても嬉しい。少しは警戒心を解いてくれたのかなー、なんて。



「美味しいならよかった。…いっぱい食べてね?」


「うん!」




こっちまで頬が緩む笑顔を見ながら、私もオムライスを食べる。…それから彼は、10分もしないでオムライスを完食しました。次からはよく噛んで食べる事も教えなきゃなあ…。





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