下駄帽子こと浦原少年は本当に状況把握が早かった。ここは人間界、ていうか寧ろ異世界です、なんてお決まりの説明も丁寧にすれば理解したし、あなたの世界は実は漫画で、いやでも虚構って訳じゃなくて私の世界を漫画として描いてる世界もあるかもしれないし云々かんぬんの説明だって楽々クリア。え、もしかして死神が年齢不祥なように君も既に見た目と年齢が違うの?と聞いてみたけども彼は6歳、栄養不足で痩せてるからか少し幼く見えるが見た目通りらしい。なにこの6歳児有り得ないだろ。
まあ年齢に関してはルキア達の話を見れば、一定の歳まで成長して後はほぼストップっていうのがわかるけども。いや待てよ、やちるちゃんみたいな例もあるのか。…何て言うか、死神って不思議。
まあそんなこんなで、浦原少年には君が今いる場所は君からしたら軽く100年は先の現世ですよー、って事も教えておいた。あと、文化の発達についてや世間の常識についても軽ーく。本来六歳児にこんなに長ったらしい上難しい話一気にする事はないが、最初に言った通り彼は年齢とは不釣り合いな理解力があった為例外だ。本当にこちらが驚かされる頭脳を持っている。…現に今だって……



「…じゃあ、ぼくはいったいどうしたら……」




…六歳児らしからぬ理由で憂いてるし。普通あれだよね?キャラが子供になってトリップする場合って、親に会いたいとかおうちに帰りたいとかそんな理由で泣いたりするよね?なのに彼の場合、衣食住の確保が出来ない現実に対して涙目になってるんだけど。それは普通大人の姿で来たトリップキャラの悩みだと思うな、お姉さん。
…まあ、このままにしていても可哀相だ。彼の正体がわかった瞬間から決めた事だし、早く言ってしまおう。ていうか私ショタ萌えじゃないけどこのエンジェルには萌えざるをえませんハアハア。



「……あのさ、浦原君…」



浦原君、って呼んでみた瞬間かなりの違和感。私今まで喜助さん呼びだったし何だろ、変な感じしかしないわ。でもこんな小さい子供に喜助さん、は無いし…なんかこう、いい呼び名はないものか。
そんな事を考えてたら浦原少年がなあに?とでも言いたげに首を傾げながらけちらを見上げてました。……ちょっと待って、お姉さん鼻から何か出そう。なにその可愛い仕種反則だろうがよおおおおお!!!



「………なにか……?」


「あ、いや、あのね、君さえ良ければウチに住まない?」


「え……」



ぽかん。言葉にすればまさにそれ。え、そこまで驚く要素あった?なんなの、私は6歳の世界の右も左もわからないようなショタを放り出すような人間に見えるの?だとしたらちょっとショックなんだが。



「こう出会ったのも何かの縁だし、浦原君さえ良ければ帰る時が来るまでウチに住みなよ」


「……いいん、すか…?」


「ん、いいよー。一人暮らしだから親の了承とかもいらないし」


「でも、その、おかね…とか…」



この子どんだけしっかりしてんの!?いやいやいや、そんな心配するなよ六歳児!確かに元のサイズの浦原喜助が来たらきつかったかもしれないけど、ちびっ子くらい余裕で養えるわ。大学行く以外は全力でアルバイトしてる私を嘗めるなよ!



「君一人くらい平気だって。子供はそういう心配はしなくていいの!…あ、もしかしてウチに住むの嫌だったりする?」



こんな所にこんな得体の知れない女と住むくらいなら野宿するわー!って感じで理由を探して断ろうとしてるとか…?なにそれショック。…なんて考えは杞憂だったみたいで、浦原少年はブンブンと勢い良く首を振った。



「ちがいます!ぼく、おねえさんのところがいいっす!」


「……そっか。なら良かった」



少し安心。嫌がられてないなら良かったです…お姉さん変な心配しちゃったよ。それじゃあ、と改めて浦原少年に向き合う。



「私は苗字名前。これから宜しくね」


「…なまえ、さん…。よろしくおねがいします!」




……こうして、私と浦原喜助(小)の生活は始まったのであった。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -