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暗殺チームで仕事をし、デブからの個人的な依頼をちょいちょい受けながらの生活も半年が経った。半年間で暗殺チームのメンバーは6人から9人に増えた。ついでに仕事も増えたが、人数も増えたので実質忙しいのはリーダーくらいだ。暗殺は現場仕事だと思っていたが、書類仕事もあるのかと少し驚いた。
増えたメンバーはイルーゾォ、ギアッチョ、メローネの3人で、特にイルーゾォのスタンドはすごい。鏡の中を移動できるらしい。超便利。でもどこか妖怪チックだな、とも思った。この3人は比較的若くよく喧嘩したり反発したりしているが腕は確かだし、やはりリーダーの目利きはいいんだろう。メローネは私のことを知っており、「あーっカファロのわんちゃんじゃん!今度はリゾットの犬なの?」と聞いてきた。犬になった覚えはないので無視した。うるせえわんわん。私はメローネのことを知らない、というか会ったことあっても基本覚えてない。
ギアッチョは初め私によくキレたが、私が無反応なのを見てから何もしなくなった。いじめっ子体質だろう。逆にイルーゾォはいじめられっ子体質のようで基本鏡から出てこないし結構ビビっていることが多い様子。それでもサクッと殺すからギャングだ。

「ナマエ、昼食を食べるか?」

それからリーダーだが、彼は半年経っても私に昼食の有無を聞く。私は一度も承諾したことはないけど、彼は毎回表情を変えずそうか、と頷くだけだ。
このチームはよく食べる。私は動かなければお腹はすかないし、すいても一日一食で十分だがみんな毎食きっちりたくさん食べている。きっと筋肉があるからだろう。私もあるはずなんだけど、私の身体は不思議とガリガリのままだ。まあ昔と比べれば肉はついているけど。
メンバーはよく給料について愚痴っている。曰く少ないらしく、クソみてえな扱いだよなァ? と。クソみてえに生きてクソみてえに使われてクソみてえに死ぬのはゴメンだ、と以前昼間から酒を飲んだギアッチョがキレながら言っていたが、クソみてえに生きたくないのであればまず昼間から酒を飲むのをやめてその歳で酒を飲むのもやめてギャングをやめればいいと思うのは私だけだろうか。私はクソみてえと言われても事実なので特になんとも思わない。殴られるだけの生活よりはマシ。今や被害者から加害者へ見事にチェンジしているのはノーコメントだ。


「そっちに逃した!」

メローネの声を聞いてゲンさんを使う。サクリと窓から逃げようとした奴の腹に特大のナイフを刺すと、そいつは血を吐き叫び声をあげることも無く絶命した。最近のゲンさんはナイフ1個でもよくアレンジをしてオシャレなものにする。どうせ消えるから意味あるのか。
終わった、とゲンさんをしまい戻ると、メローネが「グラッツェ、ディモールトベネだよわんちゃん」とニコニコ笑いながら言った。何がベネなのかよくわからないけど、仕事は終わったので家へ帰る。報告はメローネに任せた。
翌日、朝食の硬いパンを食べてからアジトへ行くと、リーダーがどこか困った様子で私にメローネはどうした? と聞く。知らない、と首を振ると昨日から連絡が取れないのだそう。しかし知らないものは知らない。

「てめえ、まさかとは思うが殺してねえな?」

プロシュートの言葉にまさか、と首を振る。メローネを殺して何になるんだ。お仕事以外で人は殺しません。

「チッ、厄介なことになってねえといいがな」

続いたその言葉に昨日の夜を思い出す。夜に工場へ行って殺して機材を壊して殺して終わり。情報機材に関してはメローネが一番だったからコンビになった。そういえば、終わったあとメローネはご機嫌そうだった。ベネと言った。何がベネだ?そっちに逃したって奴を私が仕留めたから?いや、なんか違う気がする。そんなのでご機嫌になるのか?なんか、こう、引っかかるものがある。しかしそれが何だかわからない。そもそもメローネってよくわからない。私にとってわからないのはメローネだけじゃないけど。
結局その日メローネは一度もアジトに来なかった。

私は7時にアジトを出ると、昨日の現場へ向かう。なんというか、嫌な予感がした。
夕方の工場は廃墟のような雰囲気だった。死体はもう片付けられており、血も後が少し残っているくらいで綺麗だった。その工場の中を足音を立てずに歩く。奥からぬちゃりと音が聞こえた。すごく嫌な匂いがした。ギイ、と音の鳴る扉を開けた先に、メローネはいた。

「あれ、わんちゃん。どうしたの?」

メローネは昨日と変わらない格好で笑う。しかしその足元には人間、いや、元人間があった。メローネのスタンドが発動している。すごく臭くて、不快だった。そのお肉ぬちゃぬちゃ混ぜるのやめた方がいいよ。

「ちょっと実験がしたくてさ、いやー昨日わんちゃんが仕留めてくれて良かったよ!逃がしてたら俺じゃ出来なかったから」

ちょっと何を言っているのか意味がわからないから無言でそうか、と流す。確かに昨日私が仕留めた奴のような気もしなくはない。髪の色とか。もうほぼ血に染まって黒いけど。嫌な予感は嫌な予感だったが、無視すべき予感だった。メローネは何事も無かったしむしろ絶好調だし。その日は帰って即横になった。流石にちょっとグロすぎた。

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