- ナノ -

カミングアウトしないと出られない部屋

何とかも眠る丑三つ時、当然私も眠る時間帯だ。いつもならぐーすか夢の中、なんだけど今日は眠い目を擦りながら自分の部屋じゃなくハーミーのお部屋のベッドの上にいます。そしてベッドの上にいるのは私だけではなく、主であるハーミーそして同室者のラベンダーとパーバティも。3人はお菓子をつまみながらキャッキャ話している。実質私だけアウェイ。女子会よ!と誘われたはいいが、あんまり話についていけないんでもはやうとうとしているだけのナマエちゃんである。おしゃれアイテムも化粧品もどこの誰がかっこいいとかもよくわからない。えっ私女子力ない……?普段食っちゃ寝している自覚はバリバリある。いいじゃないの、今は子供なんだからーっていうかこのクッキーうま。

「ナマエ食べてばっかりいないで話してよ」
「あなた食べてないと寝そうね」
「せやかて工藤」
「クドウって誰!?」

しまった、ラベンダーの瞳が輝いてしまった。ボーイフレンド!?という反応にいやいやと首を振る。今のは言葉の綾ってやつよ。ん?なんか違うか?まあ似たようなもん。 私の弁解にラベンダーはなんだ、とつまらなさそうに言った。ナマエにも春が来たと思ったのに。そしてパーバティが言う。

「もう春なら来てるじゃないの、ねえハーマイオニー?」
「そうね、本人はまだ真冬のようだけど」
「今は秋だぜ」
「これなんだから……」

はあ、と3人のため息がシンクロした。な、なんだってんだ。意味くらいわかるよ、春が来たってのはときめきの到来でしょ。まるで私が恋をしたような言い草だ。でも全く心当たりがない。だから真冬だって?うるせえやい。食べ過ぎ、とクッキーを取り上げられてしまいしゅんとしてしまった。

「じゃあ聞くけどね、ナマエ。ハリーのことはどう思ってるの?」
「かわいい魔法界のアイドル」
「……ロンのことは?」
「ちょっとめんどくさい末の弟」
「間違ってないわね。ハーマイオニーのことは?」
「ふわふわな妖精。大好き」
「ナマエ!」
「でもたまに怖い」
「ちょっと」

嬉しいわ、とぎゅっと抱きしめられてすぐに余計なことを言ってふぎゅっと締められてしまった。クッキーが出るかと思った。ふう、と楽になったお腹をさすり、ごめんよおとハーミーのふわふわ髪を撫でる。くすくすと3人とも笑っていた。

「っていうかもう眠いよ、日付変わって結構経つし寝ようよー」
「ああんもうナマエったらお子様なんだから」
「なにおう」
「わかった、わかったわよ。仕方ないわね、じゃあ……最後に、みんな好みの人をあげていかない?」

きゃーっ!と恥ずかしそうに声が上がる。暴露大会ってわけね。なるほど。んむむと唇に指を当てて考える。好みの人ねえ。

「好みってなんでもいいの?」
「ええ、なんでも……いえ、だめよ。顔とか性格とか、根拠が欲しいわ。特にナマエはね」
「名指し指定」

ぴしっとパーバティに指をさされ、はいっと背筋が伸びる。仕方あるめえ、きゃぴきゃぴ女子のノリに乗っかるとしよう。これ答えたら寝れるわけだし。目を擦りながら3人の暴露を大人しく聞く。
トップバッターで言い出しっぺのパーバティは最近ハッフルパフのザカリアス・スミスくんが気になっているらしい。この前ピーブスの悪戯で濡れたときにハンカチを貸してくれたんだとか。ひゅーやるじゃん。見た目はかっこよくないけどその心が素敵!なんだと。
次にはいっ!と手を上げたのがラベンダー。ハッフルパフプリンスが憧れらしい。セドリック・ディゴリーって名前もかっこいい!とか完全に恋する乙女だ。名前がかっこいいってなんやねん。クィディッチが強いのもいいわよね、とまさかのハーミーの同意にびっくりした。成績もいいんだとか、聞いてるだけでめちゃめちゃ出木杉くん。何かの欠点がないと納得出来ない出木杉具合。出来なさすぎの私は嫉妬するしかねえな…。
それでもって意外や意外、ハーミーは照れながらレイブンクローのマイケル・コーナーの名前を上げた。

「えっまって誰それ私知らない」
「マグル学の授業で一緒なの。彼とても面白い視点を持っているわ。性格は…私とはあまり合わないと思うけど」
「でもいい人だと思ってるのね」
「ええ、そうなの」
「ハーマイオニーらしいわ、素敵ね」

選択授業か!盲点だった。なるほどなあ、と頬杖をつく。自分にないものを持ってる人は確かにいいなって見えたりするよね。好きというよりは憧れ、憧れよりは羨ましいのかも、と冷静に続けるハーミーに、同室2人もニコニコとしている。微笑ましい感じだ。
しかし、そのニコニコも私を向いた途端ニヤニヤに変わった。ナマエの番よ!ウ、ウス……。圧が強い。

「っていうかみんな性格とかパーソナルデータとかから考えてんのすごいね」
「あなたは違うの?」
「だってそんなの実際わかんないじゃーん。結婚したらDVだった系かもしんないよ?理想持ってたら怖いって」
「それは否定出来ないけれど…そう言うのならナマエは顔なのね」
「うん、顔。ってことでマルフォイくん」
「ええっ!?」「はあ!?」「ありえない!」

どうしてあんなのが!?あなたおかしいわ!大批判の嵐である。そんなに言ってやるなよ…確かに嫌な奴だけど顔はいいじゃん顔は。

「本っ当に顔でしか言ってないのね」
「性格は……ええと……こう……ちょっとアレだけども……」
「最低よ!」

先程まで可憐な少女だったハーミーが烈火の如くだ。顔だけだってばあ…。スリザリンなんて!よりにもよってマルフォイ!?なんて怒り出してしまった3人をまあまあと宥める。
最終的にスリザリン悪口大会になってしまったのは私の責任だって深く反省してます……。あと翌日ハリーにめちゃめちゃ冷たい態度取られてちょっとショックだった。か、顔が好みってだけじゃん……!