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ハリーと仲直りし、以前のような生活に戻った。いや、以前よりハリーたちと一緒にいることが多くなった気がする。なんか一人でいるとハリーが隣に来るようになった。好感度上がるイベントとか起きる訳じゃないが、一緒にいると自然に会話が増え、ハリーの情報を本人からよく聞くようになった。日々の不安だとか、スネイプ先生の愚痴とか、他の先生に褒められたこととか、危険スポーツの良さとか。一番最後のは無心で聞くのみだが、まあいい。大体にこにこ聞き流すと何故かバレて「ちゃんと聞いて!」と言われるが、まあいい。

寒さの峠を越えたが、それでもまだまだ英国は寒い。周りは既に防寒着は脱いでいたりもするけど、私はもちろんがっちり身の回りを固めている。寒い。残念ながら、私に保温魔法は使えないし。なんでって?私が知りたい。授業ではフリットフィック先生も困惑してたし私も困惑してたところから察してくれ。
全部学校が用意してくれた厚いローブに身を包み首元には赤いしましまマフラーをきっちり巻く。かなり長いので耳や鼻まで包み込んでしまえる代物には大感謝。ありがとうホグワーツ。いっその事顔防寒具を揃えてくれホグワーツ。あと廊下にも暖房器具設置してほしい。そもそも電化製品がない時点で問題。こたつプリーズ。
しかしそんな寒いのなら出なければいいのでは?という意見があるだろう。残念ながら出なきゃいけないのだ。なんてったって、友達からのお願い。

『僕の試合、ちゃんと見ててね』
『遠慮したい』
『見てて』
『あっはい』

お願…………うん、そう、お願いだ。ちょっと強めの。昨夜の談話室で、両手をぎゅっと握られての会話を思い出し少し苦くなった。私あの危険スポーツ苦手なんだよなあ……。まあ、言ってしまったものは仕方がない。
朝の空気はなおのこと冷たく、ずっと鼻を鳴らしながら大広間に入るとハリーたちから大きく手を振られた。おはよう諸君。

「君、いつまでそんな格好してるんだ?間抜けだよ」
「ロン!おはようナマエ。確かに、流石に着すぎじゃないかしら?」
「ナマエは寒がりなんだよ。ほら、オニオンスープ」
「ありがとハリー」

口元のマフラーを少しずらして、あたたかいカップに口をつける。ずずっと音を立てて飲むと、じんわりと内臓に温かみが広がる。しかしハーミーからはぴしりと注意をいただいた。はい、すみません。日本人のほとんど音立てるよ。すみませぇん。

「ナマエ、今日は早いわね。いつもディーンたちと来るでしょう?」
「あれは引きずられて行ってたからね」
「なんで今回は自分から来るんだ?」
「可愛い子からのお願いとあっちゃあ仕方ない」

ぱちんと下手くそにウィンクすると、ハリーがくすくすと笑った。ロンもハーミーも不思議そうな顔をした。ハリー言ってないのか。サプライズ?この反応は成功してなくない?いや冗談。
レタスと生ハムのセサミサンドイッチにかぶりつきながら、ふんふんと3人の話を聞く。今日のポイント的なものを色々話していてよくわからないが、時々どう思う?と聞かれるのでわかんないで突き通し、チーズホットサンドを一度開いてレタスとトマトをねじ込み閉じたものの最後の一口を口に入れたとき、ハリーが暗い顔をした。

「あの声だ」
「また例の声?」
「うん」
「例の声?」

なんじゃその怪しい感じ。咀嚼しながら眉間に皺を寄せると、突然ハーミーが立ち上がった。驚いて隣を見ると、何故かハーミーも驚いている。えっなんで。

「私、思いついたわ!ごめんなさいハリー、図書館に行かなきゃ! あなたも来て!」
「えっハーミーさん!?」

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