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クーリスーマッスのまーえーにーはっ試験!!来ちまったぜ魔法薬学。来ちまったぜ解毒薬。乗り越えるために、ベゾアール石、ベゾアール石、ベゾアール石……ぶつぶつと朝から唱え続けた解毒薬の材料。唱え続けた結果無事忘れずにいられた。しかし弊害。

「……マンドレイクと、えっと、生姜……あれ生姜?生姜でいいんだっけ?いや待てよ目玉も、……目玉ってどれの目玉!?」

なんとかベゾアール石とマンドレイクは忘れなかったがその他が曖昧になってしまった。HAHAHA出来たお薬が黒ーい。くろーい………。カリカリとスネイプてんてーのペンが羊皮紙を容赦なく削っていく。時間が残ってたから念のためやり直したら真っ青になった薬を提出したときの私の目は死んだし、スネイプてんてーは視線で私を殺せそうだった。




「どうだった?」
「むりぽよさげぽよ」
「ぽよ……?」

珍しく私と似たような死んだ目をしていたハリーと空笑い。ロンも微妙そうな顔をしている。ハーミー?心配ないね、ハーミーが失敗したときが魔法界の終焉といっても過言ではないんじゃなかろうか。

「ナマエ、あなたこのままだと本当に落第するわよ」
「むしろしないほうがおかしいだろ」
「ロンに全力で同意」
「ナマエ!」

他人事じゃないのよ!……なあんて言われても、私には無理だ。無理無理。相性が悪すぎる、魔法薬学くらい落としても問題ないでしょ。とかいいつつ魔法薬学以外も危ないんだろうけど。ハーミーのお母さんのような小言にうんうんと頷き流していると、「適当に聞かないの!」とヒートアップしてしまった。慌てて「んじゃ大広間で〜」と手をヒラヒラ降って先に階段を上がる。普段は置いていくくせにこういうとき味方してくれる階段さんのこと私けっこう好きだよ。

「ま、まって、ナマエ、はや、」
「おやハリー、ついてきたの」
「うん……僕にもちょっと刺さって」

そうか……。哀愁漂う少年に頷き、肩を軽く叩く。傷の舐め合いと行こうや。大広間でたぶんお説教されるんだけど。わかっていても逃げざるを得ない心境というものがあるだろ……わかってくれ思春期ガール……。
息を調えたハリーと混んだ廊下を抜けていく。ガンガン肩をぶつけられ、負けじとイキッた態度を取ればスリザリンの尖った青年から喧嘩を吹っ掛けられた。しかし人混みに紛れてスルーする。私も学習してるんですよへへへ。
角を曲がったところで誰かにぶつかった。すみません、とよろけた相手を抱き止めると、ふわりといい香りがする。細い身体に黄色人種特有の肌色。

「チョウ。大丈夫?ごめん、ぶつかっちゃった」
「ええ、あなたが抱き止めてくれたから大丈夫よ。ありがとうナマエ。……あら、ハァイハリー、これから夕食?」
「そうだよ」

私たちもなの、とチョウのご友人のグループと一緒に大広間に行くことになった。まあグループといってもマリエッタだけだけど。久しぶりーと会話をする。女の子だからか、話は自然とダンスパーティーのものになった。危険スポーツの話をするハリーとチョウの後ろを、マリエッタと並んで歩く。

「私、ダームストラングの人と行くの。ダンスパーティーの知らせがあってからすぐに誘われちゃって」
「へえ、すごい」
「エゴロウナとは結構いい雰囲気なのよ」
「いぇごろーな?いいじゃん、頑張って」

誰かよくわからないがキャッと頬を赤くするマリエッタを応援するよ。それにしても発音がまた難しい名前だ。

「ナマエは……って、愚問だったわね、ハリーと行くんでしょう?」
「え?ううん」
「えっ」

「えっ!?」

何故ユーがそんなに驚いているんだいハリー。勢いよく振り返ってきたハリーにぱちくりと瞬き。チョウも何故かびっくりしている。

「誰と行くの!?僕とじゃないの!?」
「誰とも行かないよ。なんでハリーと行くの」
「ウソ!」「マジ」
「…………ほんとうに行かないの?」
「行かないよ」
「ウソ……」「だからマジだって」

おまいはどこのメンヘラ彼女かってくらいに迫ってくるハリーに、安心させるように首を振る。そして目を見て頷く。どうどう。ハリーが唇を噛んで黙った。チョウとマリエッタが少し離れて様子を伺っている。完全に珍獣捕獲の空気だぜこれ。黙ったまま動かないハリーの目の前で手をひらひらさせ気付けてみると、ハリーは唇を噛んだままハッと顔を上げた。

「わかった…クラムと行くんだろ」
「行かないってばよ」

何もわかってないぞどうしたハリー。流石の私も困惑でござる。ギッと目を吊り上げ、ハリーは私を睨んだ。堀深いし顔綺麗だから素直に怖い。ついでにちょっと雰囲気ハーミーに似てきたね複雑です。ハーミー怒ると怖いんだもん…。反射的にスっと両手を顔の横まで上げ降参の体制をとる。しかし、ハリーは加速した。ハリーのテンションは…加速する…!

「クラムに誘われたんだ、だから僕とは行かないんだ」
「誘われてもないしそもそも行かないってば」
「ウソ!」
「ひょんほはっへは」

ハリーが私の頬をつねった。ほんとだってば。つねらないでくれ、マヌケがさらにマヌケになってしまうし普通にいた……くはないのがハリーの優しいところだよね。思いやりは忘れないいい子か。ちょっと和んだところでチョウが軽く手をあげて発言した。はいチョウちゃん。

「ナマエはクラムと仲良いの?」

おっとそういやクラムくんも危険スポーツマンだったな。有名な選手なんだっけ?期待の星だって前にハーミーから聞いた覚えがある。しまったチョウは危険スポーツ組だ…。そしてチョウの問いに何故かハリーが答える。そうだよ、ってちげーわ。……自分で否定させんなさみしいだろ!友達作り下手くそ乙!ハリーの手をむんずとつかみどける。

「違うから、そんな仲良くないし普通に話す程度だから、サインは本人へお願いします」
「だってこの前図書館でこそこそ2人で話してた」
「話くらいするじゃん」
「僕とロンを先に寮に帰してするような話を?」
「あら修羅場だわ…」

ぼそっと呟いたマリエッタを見る。むふふと楽しそうに笑われた。わかる、噂話楽しいもんね、チョウとディゴリー氏の仲を楽しんでた私が言うんだから間違いない。ただ自分にくると話は別だ。目が死んだ。どうせ僕の悪口言ってるんだってどうしたネガティブすぎるだろ、やっぱり周囲のやっかみはハリーの心にネガティブを連れてきているらしい。若干面倒モードだなと友人らしかぬ感情を抱きつつ相談受けてただけだよ、と言うとハリーはギッと目力を強くした。見下ろされてるから迫力がすごい。そしてロンに怒ってるときのハーミーに似てる。こわい。

「じゃあなんの相談?僕の倒し方でも教えた?」
「多分クラムくんなら相談するまでもなくハリーをたおせ、っんごほんごほん、ンッンー、エー、そんなわけないじゃん!」
「ナマエ、ダンスパーティーに誘われたんでしょ?」
「だから違うって、むしろ誘いたい子がいるからっていう相談だったから」

あっしまった口が滑った。言ったあとで気付いて咄嗟に口を両手で覆う。ごめんクラムくん情報漏洩した。ハーミーと言わなかっただけ許してくれ、モンキーの頭で頑張ったほう、そんなクソみたいな言い訳を心の中でしつつ目をキラッとさせたハリーに手を掴まれ口元から退かされる。そんな少年みたいなお目目してかわいいぞう。なおこちら前門にキラッとしたハリー略してキラハリ、後門には違う意味で目をキラッとさせたチョウアンドマリエッタがおり冷や汗出まくってます、現場からは異常です。

「じゃあやっぱり僕と行こう!」
「行かない」

即答したら何日かハリーに拗ねられちょっと避けられたでござる。そんなに相手に困ってるのか、いやいやグリフィンドールのスターハリーポッターくんなら誰でも選び放題じゃないの?あ、チョウとハーミーとマリエッタは除く。それとも実は女の子に対してめちゃくちゃシャイボーイなの?新たな属性追加?

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