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「おや、可哀想な子がここにもいるぞ?ああ、いやすまない、可哀想な子猿だ」

さらさらと流れる、思春期になれば女子から嫉妬の目を向けられそうな綺麗なプラチナブロンドというシャレオツな髪の少年の言葉に、彼の取り巻きのちびちゃんたちがどっと笑った。たった一言でこのウケよう。すげえな、吉〇入ったらどうだろう。見た目もプラスして中々人気が出そう。

このプラチナブロンドという名前だけ聞いたら高く売れそうな髪の少年、マルフォイくんは、スリなんちゃら寮の子だ。マルフォイくんの名前はグリフィンドールでよく聞くし、彼自身私によく突っかかって来るのですぐに覚えてしまった。勿論、よく聞くってのは悪い方向で。なんでも彼、めっちゃお金持ちで貴族らしい。貴族。貴族て。すごくないか、私みたいなパンピーが貴族と同じ学校にいるんだぞ。人生何があるかわからないな。そもそも誘拐されて学生になる時点から私の人生波乱万丈。
しかしこんな言葉かけられる経験ってのもなかなかない。一生に1度くらいならまあいいのかもしれない、なんて思っていたんだが。

「よぉクソ猿。可哀想な奴等同士ポッターと仲良くしたらどうだ?」
「…………ホワイ?」

つん、と高くした鼻で笑い言った知らない人に首を傾げる。私の心境は誰だこの人、である。誰だこの人。
やけに体格が大きく、見るからに上級生。随分大人気ないな。自分のことは棚にあげていくスタイルで。

「ホグワーツは猿まで入れるようになっちまったのか、あの老いぼれももう隠居した方がいいんじゃねえの」
「ワッツ?」
「しかも魔法もろくに使えねえらしいな。スクイブが来る所じゃねえぞ、猿は動物園に帰れよ」
「パードゥン?ス、スク……?」
「それとも家なき子は学校にしか居場所がねえって?かっわいそうにな。野垂れ死んだほうが幸せなんじゃないか?じゃあな」

しかもこの人、私の反応を華麗に無視して言いたいことだけ言って去ってい「お待ちなさい!!」ったと思ったけど引き止められてしまった。呼び止めたフリッツフィッツ先生の高い声に素直に待つあたりいい子だ。スクーブってなんだよ。
フリッツフィッツ先生は小さい背でひょこひょこ走ってくると私の前に立った。えっなに、なんだなんだ。私に背を向けているし、話すならもっとあの人に近い方が良くないですかね先生。

「なんてことを言うんですかミスターフリント! スリザリン10点減点!」

まさかの減点にミスターフリントは小さい綺麗なお口をあけて驚く。うそだろ!?を全面に出している。フリントって言うんだね。どうでもいいけど名前のフ率高い。

「何故ですか先生!」
「君がミスミョウジに対して人道的ではないことを言ったからです。よく考え、反省なさい」
「なっ……!」

言葉には気をつけて、行きなさい。そう言った先生を見ずに私を睨みつけて去って行くミスターフリント。まさしく上から睨まれた。えっ私のせいなの……?
ミスターフリントが廊下の角へ消えると、フリッツフィッツ先生は私に向き直り大丈夫ですか?と心配そうにする。

「大丈夫です。ありがとうございます?」
「いいえ、いいえ、教師として当たり前のことですよミョウジ。彼の言っていたことは何一つ気にしないでください」
「は、はあ?」
「このようなことがまたあったら、すぐに言いなさい。なにか辛いことがあったら、私たち教師は喜んで君のそばにいます」

お、おい、ちょっと先生の発言が怖いんだが。しかも話の内容大体わからない。私のマンボウは誘拐された時点で何十匹も召されているぞ。
フリッツフィッツ先生はウィンクをして、さあ消灯時間が迫っていますよ!と私の背中をふわりと押した。もうそんな時間か。おやすみなさいフリッツフィッツ先生。

「……ミスミョウジ」
「はい」
「私の名前はフリットウィックですよ」
「……フリットウッ、うぃ、うぃーく……おやすみなさい先生」
「………………ゆっくり休みなさい」

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