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まあ、まあね?ぶっちゃけそういう気はしてた。だって今年は私の精神的にも不完全燃焼だったっていうか、謎が残りすぎっていうか、明らかにギリギリのところでCM入りした感あったもん。でも諦めたらそこで試合終了じゃん?……いやこの使い方はちょっと違うな……。あ、そう、不屈の精神的な、そういう感じのやつ。察して。
とにかく、帰ることは当然諦めたつもりはなかったんだよ。モヤモヤは残るけど、夢の中の話とか思って割り切ればいい事だし、私は中途半端でも気にしないタイプだから。

「まーそう上手くはいかねえんだけどさあ……」

今年もこんにちはー!in灰色の部屋。
そんで多分、十中八九体は聖マンゴにいるんだろう。
備え付けのスプリングベッドにダイブすると、埃が舞ってゲホゲホ咳が出た。掃除しとけや。鼻をつまんで呼吸を整える。
あー…疲れたなあ、疲れちまったなあ。しかし、目を閉じたって眠りは訪れない。知ってた。でも、少し休んでもいいじゃん。そう思って横になってみても、頭の中では謎のことを考えちゃうし、ムーディ教授(仮)の言葉もたくさん思い出しちゃうし。単純に心のキャパがない。
ぐすっと鼻を鳴らして、ふっと腹筋に力を入れて起き上がる。泣いてない、泣いてねーーから!袖でちょびっと目元を擦って、部屋の隅に置かれていたトランクに手を伸ばす。何かないかなとひっくり返して床に中身をぶちまける。と、服とか宿題とかの他に、奥から袋に入った糸が出てきた。……あ、チョウから頼まれた糸の残りか。どうしようかなあと考えて、一旦落ち着くために編むことにした。あ、そうだよ、今年ハリーたちにプレゼントあげるの忘れちゃったし。……いやいや、ホグワーツに戻ること前提で考えるのやめよう。でももしも戻ったらの話。そういうことで。




ミサンガに飽きたら宿題をやって、宿題に飽きたらミサンガをやって、その往復を繰り返すと宿題はサクッと終わってミサンガが3本ほど出来上がった。おおー、人数的にもピッタリじゃん。キラキラ光る糸がまるで魔法アイテムみたいでワクワクしちゃう。私も今つけてるやつ変えようかなあ。でもいい感じに草臥れて来たんだよねえ。切れたら変えればいっか!
んんーっと伸びをして疲れていない体でぼんやりする。疲れてないけど、ちょっと首は凝ったかもしれない。くるりと回して横が見えたとき、机の端にノートが置かれていたのを発見した。

「……ああ、いつものやつね」

いつものやつって言い方もなんか嫌だな。自分で自分にキレるなっつの。
やれやれと頭を振り、横着して椅子から立たないまま、体をずらして手を伸ばす。

1ページ目をめくると、私の字で「出せ」とでかでかと書かれていた。こんなん書いたっけ。書いた気がすんな。そして、2ページ目には「君は生きたいか」の文字が。これ前も見たやつだし。ムッカつくわー相変わらずムカつくわー。チッチッチッと舌打ち祭りだよ。またページをめくる。


” きみは、いきたいか ”


「…………アーン?」

これはNEWの書き込みじゃないか?なんでひらがな?ぐっと眉を寄せる。とりあえず、文の下にでっかく外に出たい、とだけ書き込む。最後にナマエ、と名前も書いておいた。次はお前も名乗れよな。そしてペンを机に置いたとき。
ドクンッと全身が雷に打たれたように一瞬痛んで、倒れていく視界がぐるりと回った。

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