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どんどん宿題が増えていく、増えていく、増えていく。魔法薬学なんか冗談だろって量が出されてしまった。半泣きでネビルとレポートをやる日々だ、本当に苦しい。どうしてみんな平気そ……いや平気そうなのは一部なんだけども。っていうか私とネビルの宿題の量が違くない?私の方がプリント多くね?なんで?基礎的なプリントが多くて、多分スネイプ先生があまりにも出来ないからってことで出してくれてるんだろうけどお陰で瀕死だよ。夜もあまり眠れなくて授業中にうとうとしてしまう。いつ記憶が飛んでいるのか、最近本当にわからなくなってきてしまった。かろうじてつけていたメモも今はぐちゃぐちゃだ。

「ナマエ、ナマエ、起きて」
「んぇ……はりー……おう……起きてる……」
「マクゴナガル先生来るから起きて」

ハッと目が開いた。おおおおきてます。起きてますってば。私の様子をチラチラ見ながら、マクゴナガル先生は課題をやる私たちの後ろを通っていった。う、うわあヒヤヒヤしたあ……。ありがとうハリー。お礼を言うと、ハリーは苦笑して机に置いたままの私の杖を渡してくれた。あっ……いやなんも言われてないからセーフ。図太くいこう。
そう思った次の瞬間、私は談話室にいた。

「……え?」
「あらナマエ、起きたの」
「…………うん」

ぐらりと揺れる頭を抑えながらソファから起き上がった。パサリとローブが落ちた。周りを見ると、ハーミーとロンが課題をしていて他には誰もいない。

「……何時?」
「22時過ぎね。よく寝れた?」
「まだハリーは帰ってきてないよ」

22時過ぎ。私が授業を受けていたのは午前中のはずだ。

「あ゛ー……」
「潰れた蛙みたいな声出してどうしたんだよ」
「う゛ーん……どうも……」
「よほど疲れていたのね、ようやく普段のナマエらしいじゃない」
「去年のハーマイオニーよりはマシだよ」
「悪かったわね」

喧嘩しないでえ。苦笑しながら、落ちたローブを拾って畳んだ。ソファの端に置くと、その上にひょいっとクロが乗る。ああ、私のローブが猫の毛だらけに……まあいっか。水を一口飲んで、さて、と状況を確認した。ハリーはまだ帰ってきてないって言うのは第三の試合関連で夜に呼び出されているらしい。なるほど。そんでもって、変身学が終わってから今までの私は何を聞いてもぼんやりとしていたんだとか。立ちながら寝てるのかと思った、と言われて予想外にへえ、と低い声が出た。すぐに咳をして誤魔化したけど、機嫌悪い?と聞かれてしまった。んなことないよとへらりと笑う。そっか、そんな感じなんだ。そういえば、自分の様子をちゃんとノットくんに聞いたこと無かったかもしれない。今度聞いてみよう。そう思いながら私も課題を広げると、ハーミーから心配そうにされた。

「最近ナマエ、課題ばかりでしょう。今日もあんな様子だったし、大丈夫なの?」
「でもやらないと終わらないし」
「そうだけど……」
「ハーマイオニー、君ナマエに甘すぎじゃないか?」
「あなたと違ってナマエは自主的にとっても努力してるのよ」
「僕だってちゃんとやってるよ!」
「言っておきますけどね、ナマエが私に宿題が終わらない!って泣きついてくることなんて滅多にないんだから」
「喧嘩しないで。わたしゃ2人の子供か」

2人の間に手を挟んではいはい離れて離れて喧嘩しないでと仲裁する。しかし本当に心配だというハーミーに大丈夫だよう、と繰り返して、一緒にやろうと言うと了承してくれた。ハーミーは心配してくれるけど私からしたらハーミーのほうが心配だから。圧倒的に私よりも量多いんだぞ。そうして課題をやり始めて多分1時間くらい経った頃、ハリーが談話室に駆け込んできた。ハアハアと息を荒くして、大変だ!って感じの様子で。しかし話し始めようとしたとき、ハッとした感じで私を見る。察した。最近の私の察すスキルめちゃくちゃ上がってる。

「ナマエ、」
「ごめんやっぱ無理、眠いわ。先寝るね」

ローブの上で寝るクロを退かして、毛だらけのそれを持ち上げる。ハーミーが髪に使っているオイルのフローラルな香りがした。クロもつけてんのかな、おしゃれさんだ。

「う、うん。あの、ナマエまって!」
「どした」

片手をあげておやすみーと階段を上がろうとすると、ハリーから呼び止められた。上がる途中で振り返る。

「僕、クラムにちゃんと言っておいたからね!おやすみ!」
「……おう、おやすみ」

なんのことかよくわからないけど、わかったぜ!
そして翌日の魔法史では、珍しく3人ともうとうとしていた。ハーミーでさえかろうじて教科書を開いてるっていう具合で、昨晩あれからかなり話し込んだらしい。夜更かし、それもまた青春。板書したやつは私ので良ければあとで見せようと苦笑して授業を受けた。そんでもって授業が終わりなりすぐに飛び出て行った3人を見送りのんびり歩く。ナマエ、と後ろからサーシャにつつかれて、おう、と返した。アリアも一緒にいる。

「最近ハリーたちと一緒にいないのね、ナマエ」
「やっぱなにかあった?」
「四角関係とかじゃねーーーから」
「わかってるわよ。ナマエにそれはない」
「ナマエはない」
「私だけ?全否定??」

サーシャにもアリアにも言われて頬が引き攣った。どういう認識されてんのよ。これでも私たちもう4年の付き合いじゃん?4年も同室じゃん?なんで?

「でも確かに別行動増えたんじゃない?番犬はやめたの?」
「威嚇する相手いないからね。私も私で色々あんのよ、ほら乙女だから」
「は?」

廊下に響き渡るサーシャの笑い声。冗談でもイラッと……しますね……。脇腹をくすぐって反撃するとまた笑い声がどひゃどひゃ出て、フィルチさんに怒られて、嫌そうなアリアの手を引いて3人で逃げた。青春って感じじゃん。たまには、こういうのもいいかも、なんつって。

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