38

すやすや眠るハリーをなんとかお姫様抱っこして男子寮のハリーの部屋に届けると、ロンがそわそわと起きていてびっくりした顔で「……ゴースト?」と言われたので頭を叩いてやった。私は死んでないぞ。しかしその後ロンにも泣かれたので超焦った。奴の髪も何気ふわふわだったことをここに記す。
翌日、ハーミーにも泣かれ同室2人にも泣かれネビルにもシェーマスにも泣かれ、ジニーちゃんには泣いて謝られるという涙で服が2回くらいびしょびしょになる珍事があったものの、その以外は至って平和だった。なんか知らんが同僚にも他の寮の人にも握手求められたりハグされたり「モンキーやるな!」と声を掛けられることが多かったが、まあ一時的なものだろう。正直構われるとびびる。
そしてバジリスクのあの件があり、学年末試験は無くなったらしい。非常に喜ばしいことである。それに、ハリーたちはなんか長い名前の賞に表彰されて、今年もグリフィンドールが優勝。あとなんか知らんが私にもかなり加点がされた。ハーミーに飛びつかれた。だがしかし、平和じゃないこともあった。まず、ロックハート教授にちょっとした問題があり入院したらしい。大丈夫なんだろうか。あとそれから、

「……来年の選択?」
「ええ、先生の話聞いてたでしょ?」
「…………」
「ちょっとモンキー……」

荷造りをする2人にため息を吐かれながら苦笑してぺらぺらの紙を見つめる。選択科目。二科以上選択というそれは、まあ馴染みのないものがだーっと並んでいた。占い学って何すんの?

「それ、早いところ先生に提出した方がいいわ。モンキーを見たがる先生なんていないでしょうし、心の準備が必要でしょう」
「ちょっと、言い過ぎじゃない?」
「サーシャはそうは思わないの?」
「…………」

おい待て黙るな。まあ出来の悪い子を見るのは確かに大変だからなあ。フリットフィック先生を見ていてよくわかる。素直にごめん。
アリアはマグル学と古代ルーン文字学と数占い学をとるらしく、サーシャは魔法生物飼育学と占い学をとるらしい。3教科もとんの?とアリアにきくと、モンキーの頭には無理でしょうけどね、と厳しいお言葉を頂いた。否定出来ない。迷った私は、あみだくじで決めた占い学と数占い学をとることにした。とはいえ、これが反映されないことを祈る。一応の保険ってやつだね。
トランクを抱えてそのままマクゴナガル先生の元に行くと、先生はもう行くのですか?と驚きながらも受け取ってくれた。

「私トロいんで」
「ミスミョウジ……。そんなことはありませんよ。2度も友人を救ったのです、胸を張りなさい」
「はあい。…………あ、そうだ、先生」
「なんですか?」
「アー……にんにく……なんつったっけな……。あ!前のDADAの教授ってお元気なんですか?ロックハート教授も入院されてるし」

にんにく先生、あれでも熱心に私に付き合ってくれたいい先生だったのだ。ロックハートだって決闘クラブではエクスペリアームスを出来るようにしてくれたし、出来ればお見舞いに行きたい。
私がそう言うと、マクゴナガル先生は驚いた後、目元を潤ませて私を抱き締めた。なんか最近私抱き締められる率高くないか。多分一生分抱き締められたよこれ。

「ナマエ、あなたはとても優しい子です。私も是非連れて行きたいところですが……許可することは出来ません。クィレル教授は、ヴォルデモートに魅入られたのです。そして自ら破滅した……彼は死喰い人にはなりませんでしたが、闇の陣営に味方したのは事実。大変危険です。あなたを行かせることは出来ません。ですが、代わりにあなたの心を伝えておきましょう」
「……は、はあ、無理いってすみません、お願いします……」

ちょっとやっぱり私魔法使いの言ってる事よくわからないわ。死喰い人って。わからないことだらけでござる。戸惑いながらも承知すると、マクゴナガル先生は、ロックハート教授に関しては集中治療室にいるため面会不可と言った。マジかよ。ロックハート教授何したんだ。代わりに手紙を送ってはどうかと言われたので、その場で先生に可愛い便箋を渡され書くことになった。先生もしかして少女趣味だったりします?っていうか結局にんにく教授はどうなったんだ?
流石に持ち慣れてきた羽ペンをくるくる回しながら内容を考える。とりあえず当たり障りなく普通の感じでいいのかねえ。一応聞いてみたが、入院の原因は教えてくれなかった。機密事項ってやつかい。マジで何したんだあの人……。悩んだ結果お見舞いの言葉と感謝の言葉をつらつらと並べ、マクゴナガル先生にお預けした。


さて、改めて帰ろうと列車の前に立つ。誰もいないシンとしたホーム。さわさわと揺れる新緑は初夏を表すけど、日本のような蝉の鳴き声は聞こえない。
今年こそ帰るのだ。いい加減帰らせろ。ごくりと唾を飲んで、列車に乗り込んだ。

そして、視界が暗転した。

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -