Thank you for
3rd Anniversary!

あれ?と違和感を抱いたのは目覚めた時だった。なんだか足がもぞもぞする。痒い。もしや、これは俗に言う成長痛なのでは……?ホグワーツでカロリー満点の食事ばかりしているから前よりも成長したのかもしれない。なんだか複雑だが、嬉しいかもしれない。人生2周目ってこんな気持ちなんだ。いや別に死んでねえけど。……自業自得で突然冷水浴びた気分になってしまった。ため息を吐きながら起き上がり、すでに起床済みのサーシャとアリアにおはよーと声をかける。

「おはようナマエ……やだ、どうしたの?」
「え?なに?」
「肌荒れがすごいわ」
「ンエ?」
「昨夜そんなに乾燥してたかしら」

サーシャに言われて自分の顔を触る。ん、んん……確かになんだかちょっとがさついてるな……。しかしイギリスの気候的には日本よりは湿気が少ないからさもありなん。昨日の夕飯にパイをめっちゃ食べたからそれもありそうだなーと気にせず着替えようと服を脱いだときだった。

「エッッ粉吹いてる!?」
「きゃっ、なに!?」

う、腕が!そんな!ホグワーツに来てから一度も無かったのに!?慌ててズボンを脱いで確認すると、なんと足もだった。う、うっそだあ……。とてもショックを受けた。半泣きでアリアにクリームを借りてぺたぺた塗る。制服の生脚に不安を感じるレベル。ううっ、流石にカロリーコントロールをしなければいけない時期が来てしまったのか…。堕落した食に慣れてしまった身では辛いものがある。ほら、若い胃袋はカロリー無限に入るから。
────朝はそう、思っていました。


「うぷ……きつ……」
「ナマエ、どうしたの?体調悪い?」
「わかんない……」

朝食べたミートパイがめちゃくちゃ胃に来る。始業ベルが鳴ったあたりからもやもやとしだし、2時限目あたりでもう胸焼けみたいになってきた。体調はすこぶるいつも通りのはずだけど、胃は違うのかもしれない。お昼ご飯はコーンスープとサラダのみをもそもそと食べて、やはりもたつく腹を抱えて授業に出る。薬草学で指先にあかぎれを見つけ少しげんなりした。傷に気づくと痛み出す説。ダジャレではない。

「あれ、ナマエ、大人っぽくなった?」
「そう?ついにナマエちゃんの大人な魅力が伝わってしまったかな」
「いつもと変わらないわよ、ほらそっち片付けてちょうだい」
「いつも大人な魅力ってことね」
「ナマエって変なところポジティブだよなあ、羨ましいね」

ロンにうるせえやいとイーッとしてハーミーの指示通り空になった私が入るくらいの大きさの鉢植えを片付けていく。奥に持っていくのはネビルとの共同作業なわけだが──コレ、なんか、こう、腰にクるな。準備室に置いたのち一度背伸びをしてトントンと腰を叩く。ネビルが心配そうに見てくれたので大丈夫と片手をひらひら振って教室に戻った。

「ナマエ、今日はなんだか疲れてるみたいだね」
「そうかなあ」
「昨日遅くまで宿題やってたの?」
「日付超えるくらいまでだよ」
「そっかあ。僕もそのくらいだったかな、魔法薬学が全然終わらなくて……」
「めっちゃわかる…」

でも睡眠時間似たようなもんのはずが何故こうも違うんだろうか。身体はまだ若いんだからハツラツとしていてもいいはずだけど、今日の私はなんとなく不調だ。風邪でも引きそうなのかなーとぼんやりしたまま机に戻ると、ハリーが顔に土ついてるとくすくす笑いながら拭ってくれた。取れたと言ってくれたけど、一応鏡でも確認しようと休み時間に入ってからハーミーに手鏡を借りて覗き込んだ。

「……アレ?エ?」

実は私、10代最後の夏にちょっと派手にやらかして額の際に薄い傷跡があるのだ。青春だからー!と海に飛び込んで岩場でザクッとやってしまった一歩間違えたらdeathのうっかりなブツ。何針か塗った傷は歳をとっても薄らと残り続ける思い出で──何が言いたいかといえば、今10代半ばのはずのこの体にその傷がある。えマジで?なんで?なんでなんだ?
肌荒れ、胃もたれ、腰の痛み、5時間睡眠では取れない疲れ。

「……と、年取ってるゥ〜!?」

思わず天を仰いだ。あまりに驚きとても小声になってしまった。素直に嫌だ〜〜!帰りたい、帰りたいけどこの身体のまま帰りたい。自覚するとどっと体に何かが、多分重力あたりがのしかかる説。あれおかしいなこんなに身体重かったかな!?なんでかな!?やっぱり10代ってすごいな!?
鏡をハーミーに返して、にこにこしているハリーを見る。

「ハリー、さっき私大人っぽくなったって言ってたよね……やっぱさ、なんかこう、いつもと違くない……?」
「うーん、最初そうかなって思ったんだけど、言われてみるといつもとあまり変わらないかも」
「えっほんとに!?雰囲気とかそういうのじゃなくて見た目的なアレでも!?」
「ニキビが出来てるってわざわざ言って欲しいのか?女ってほんとわからない」
「ちっげーーわデリカシー無し男ロン!それは知ってる!悲しいです!」
「うるさいわよナマエ。メイクでもしたの?でも、大人っぽくっていっても、アジア人はただでさえ童顔なんだからどんなメイクしたってあまり変わらないわ。私にはすっぴんに見えるけれど」

えっほんとぉ?それはちょっと嬉しい。ニキビ出てるメイクってなんだそんなことせんよ〜でもありがとねハーミー!にっこりすると、よくわかっておらずはてなマークを浮かべていたハリーもにっこりしてくれた。

「ナマエはいつでも可愛いから大丈夫だよ」
「バッカおまなにいっ…………」

君たちは是非10代の体を大事にしてくれたまえ。私は今夜からアンチエイジングに力を入れてちゃんと睡眠をとり疲れを引きずらない身体にしなければ、な。そう遠い目をしながら、ハリーの最高な褒め言葉を抱きしめそっと席を立ちネビルのそばに寄った。

「どうして!?僕今いい感じだったよね!?」
「ナマエにアレは重すぎたんだ」
「見て、やすらかな顔だわ。あれでよかったのよハリー」
「え、えっと、ナマエ……?」

わたわたとハリーと私の顔を見比べ苦笑するネビルを横目に今、終わらない時間と肉体の戦いが始まる──。


私はまだここに

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