一体どうなっているふざけるなどうしてこんなに寮点がグリフィンドールめざまあみろありがとうよハリーポッター何故スリザリンの寮点が1年がやらかしたらしいぞ今年の学期末はスリザリンカラーだなマルフォイめ金だけ立派に出しやがって。

なんだか不穏な朝だなあと寝起きでぽやぽやする頭をゆっくり動かしながら大広間へ向かう。なんの騒ぎだと眉をあげたセルウィンが、近くにいた1年生に見てこいと指示をした。食事をとるため席につくと、もみくちゃにされたらしいおりこうさんな1年生が崩れた頭を手櫛で整えながらやってくる。なんとスリザリンの寮点が50点も減点されていたらしい。わあ、すごい。点と点をつなぐと犯人はドラコのようだ。

「昨夜マルフォイが消灯後寮を抜け出したらしい」
「消灯後の外出なんてよくある話だろう」
「それだけか?なんだってこんなに減ったんだ」
「さあ。でもグリフィンドールは150点減っている」
「それは多いな……」
「ハリーポッターが関係しているみたいだね」
「なるほど、英雄のおかげでスリザリンに栄光が」
「栄光?たった1年間の話だろう」

ズズッ

「スコル!スープを啜るなと何年言わせる気だ!」
「だって熱いよ」
「なんのためのスプーンだと思っているんだ?」

はあい。おりこうさんに返事をして口の端に飛んだ汁をぺろりと舐めると、また行儀が悪い!と怒られてしまった。機嫌が悪いとムッティが増えてしまう。特に規則にうるさいエイブリーはご機嫌ななめだ。監督生は厳しい顔で寮点を計算している。レイブンクローならまだしも愚鈍なハッフルパフに負けるのは堪らないとぶつぶつ言っているけど、今後のクィディッチの点を考えると勝つのは難しいだろう。
でも僕はおりこうさんだから黙ってフライドチキンに噛み付いた。するとナイフを使え!と声が飛ぶ。いつもは何も言わないくせに、こういうときだけ。八つ当たりというには甘いものだけれど、僕にとって十分噛み切れるのにわざわざ細かく切るなんて馬鹿馬鹿しいことだ。

グリフィンドールから聞こえてくる声を聞くに、なんとドラゴンがいるらしい。これは驚きだ。ドラコが首を突っ込んでしまったのも仕方がない。しかし言ってしまったらエイブリーはさらに怒りが増すだろう、それはドラコが可哀想だ。そう思っていると、話題の人がやってきた。
ハリーポッターはびくびくしているが、ドラコはどこか胸を張っているみたい。おいマルフォイ、上手くやったな。そう声をかけられてニンマリしているけど、すぐに陰口が聞こえたらしくきゅっと唇を噛んでいた。罪悪感はあるらしい。 監督生がドラコを呼び、1年生は僕たちの席の近くに座る。

「グリフィンドールの点を減らしたのは偉いが規則は守らなくてはいけない、マグル出身にも劣る行為は好ましくないぞ」
「はい、すみません……」

エイブリーは2人のやり取りを見て、ドラコのごめんなさいによしとしたらしい。あれ、とても甘いね?首を傾げると、彼は言う。謝ったら良いというわけではないが点が減った事実は変わらない、ならば今後の行いに期待することも必要な指導だろう。なるほど、頭のいい回答だ。

僕はお小言を言われてしょんもりしているドラコのお皿にミートパイを盛ってあげた。
エイブリーにばかりかっこいい先輩をとられてはいけないから、少しだけ口を出す。

「ドラコ、あんまり危ないことしていると食べられちゃうよ」
「スコルさん……お言葉ですが僕は危ないことなど一切していません。むしろ警告してやったんです」
「そうなの?それは偉いねえ。でも気をつけてね」

子供のお肉はとても柔らかくてみんな大好きなんだから。

にっこりと笑ってそう言うと、ドラコの顔がサッと青くなった。
バシン、唐突に背後から頭を叩かれる。それも3回もだ。患部を摩って犯人を見ると、エイブリー、セルウィン、そして監督生がそれぞれ顰め面をしていた。あまり後輩を怖がらせるな。そういうところだぞナマエ。

「……おかしいね、かっこいい先輩のはずなんだけど」
「無理をするな、お前はそのままで魅力的だ」

それは嬉しいな。綺麗な棒読みをありがとう。にっこり笑うと、エイブリーは口の端を軽くあげて笑い返してくれた。ドラコが青い顔をしてミートパイを監督生に押し付ける声が聞こえた。


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