ALBATROSS

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玻璃ぽた・イン・ワンダーランド4

元はコレ


くるりと視界が回った、と思ったら目の前に鏡があって、隣にコスプレお兄さ……おじさん?がいて、フード集団に囲まれるなんつうインフルのときに見る夢よりもワケわからん状況になったことある人は手ぇあげて!ハイッッ!

「汝の魂はサバナクロー」
「……グリフィンドールではなく?」
「何を言っているんですか?はい、サバナクローはあちらですよ、そら行った行った」

いつから組み分け帽子は鏡になったのか。っていうかフードだらけのこの集会みたいなのも怪しすぎる。ローブだらけのホグワーツとどっこいで──ということは、ここもどっかよ魔法学校なんだろうか。いやいや待てよ、私ホグワーツから転校させられたってこと?なんで?昨日ポットに変えるはずのネズミを増やしたから?マクゴナガル先生そんな厳しかった?
背中を押されてたたらを踏みながら言われた方に行くと、なんかデカい人が「……お前」と低い声で私を見下ろしたもののすぐに後ろへ行けと指示された。大人しく背の低い集団へ紛れる。

「きみ、寮長と知り合いなの?」
「だれ?」
「知らないの?レオナ・キングスカラー、夕焼けの草原の第2王子だよ?」

レオナキングも知らんしお前のことも知らんのだが?夕焼けの草原ってなに?風の谷のナ〇シカみたいな?テーマパークみたいね。そもそもここはどこなの。コスプレ山のフードファッション通り?



あたし魔女のキキ!ここは魔法学校!ナイトレイブンカレッジって言うんだって!長いね!
ゾロゾロと連れていかれた寮である程度の説明を受け、カラッカラの空気にゲンナリしていたところで分けられた部屋に行きベランダに出ると、景色はサバンナだった。何を言っているかわからねえと思うが俺もわからねえ。英国でもなかった。
しかしベッドはふかふかだし部屋もそこそこ広いしシャワールームもついてるからいいんだけど、ベッドがふたつあるのに私は一人部屋らしい。サーシャとアリアと3人部屋だったからちょっと寂しい。私もうホグワーツ帰れないのかな……。家に帰りたい願望は強かったがホグワーツと別のところに移動させられるとこれはこれでクる。ため息を吐いてとりあえず着替えようとフードを脱いで下に着ていたらしい、いつ着たかもわからないブレザーをぽいぽい脱いで下着姿でクローゼットを開ける。おっ私の鞄!開けると長年の相棒芋ジャーが入っており、いそいそと着替えて一息ついた。机に積まれた本はおそらく教科書だろう。寮生活のしおりとやらをベッドに寝転びながらぺらぺらと読み込む。エーなになに。『不屈の精神に基づき学生生活を送りましょう』『寮には獣人が多く、独自のルールがあるため慣れるのには時間がかかるかもしれませんが、共に助け合い素晴らしい共存を目指しましょう』

「……獣人?」
「おい」
「ドゥワアッ!?」

近くで低い声がしてクソビビってベッドから転げ落ちる。えっなに!?不法侵入!?ベッドの端から顔を出して見ると、

「耳!」
「うるせえ」

耳が生えてた。いや、あの、耳ってのは耳なんだけど耳じゃなくて、いわゆる猫耳みたいなそういうアレ。頭の上に。しかもピコンッて動いた。えっすごい。どういう技術?ロボット?っていうか誰?
耳の持ち主は褐色の肌に長い髪、そして動物の耳をつけている美人さんだったが見るからに男だし謎の腕だしスタイルだった。かっこいいし似合ってるけどどことなくコスプレ感。

「ナマエ・ミョウジだな。……なんだそのクソだせぇ格好は」
「コスプレ耳お兄さんこそなに?」
「コスプレ?んなわけねえだろ、寮服だ。お前はなんで着てねえんだ。クローゼットにあるだろうが」
「クローゼットにあったとして何故私もコスプレ」
「寮服だっつってんだろうが。さっさとしろノロマ」
「アッハイ」

ギロリと睨まれ慌てて開けっ放しのクローゼットに駆け寄る。確かにハンガーにかけられたコスプレ服があった。寮服……ってなに?制服とは違うのか?よくわからないがそれに着替えようとして、「おい!」と怒鳴られる。ビビっておそるおそる振り向こうとすると、まさかの首根っこつかまれてシャワールームにぶち込まれた。あ、なるほど、ここで着替えろってことですか。コスプレ耳お兄さんは出ていかないんですね。麻っぽい素材の服は少しゴワついてるけど通気性快適!ってな感じに土地に合うよう作られているらしい。しかし日焼け止めを塗らないと皮膚がコゲコゲになってしまいそうだ。私も褐色の仲間入り……と行きたいところだけど人種違うしめちゃくちゃ痛い思いしそうだから嫌だな。二の腕を擦りながら部屋を出ると、ベッドの上でくつろぐコスプレ耳お兄さんがいた。

「遅え」
「スンマセン?」

私の首傾げセットの謝罪にコスプレ耳お兄さんはフン、と鼻を鳴らしてパシッと尻尾を、………えええええ!!?シッポ!?しっぽがある!?ナンデェ!?二度見ても三度見てもしっぽは尻尾だった。えっ怖い怖い怖い。うごいてる。生きて……るぅ!?

「えっ、なっ、アッ、獣人!?」
「アァ? ……んだお前、今どき差別主義か?」
「いや初めて見た……マジでいるんだ……」
「どこのド田舎からノコノコ出てきたんだテメーは」
「前いたのはホグワーツ……」
「知らねえクソド田舎だ」

森に囲まれてたし城だったから田舎だったかもよくわからんけども。多分あの土地の大きさ的には田舎。マジモン獣人お兄さんは田舎者、と私に新たなあだ名をつけてからいいか?と前置いた。

「不用意に部屋から出るな、一人で寮をうろつくな、首は厳重に隠せ、寮に男を連れ込むな、特に同僚であっても部屋に男を入れるな。お前の事情はどうでもいいがサバナクローに入った以上お前は俺の配下だ。言うことを聞かなかったら噛み殺す」
「絶対王政かなんか?」
「ガルルル」
「イエッサー!!!!」

えっこわ、唸り声ガチじゃん獣じゃんけものフレンズの300000倍怖いんですけど!?聞いてた話と違う!いやそもそも何も聞いてない!あれか、私がモンキーだったからサバナクローなのか、自虐にも程があるって言うかそんなことある?私にしっぽがあったら確実に丸まってる。そしてビビる私を置いてマジモン獣人お兄さんは部屋を出ていった。ぽつんと残されたモンキー。っていうかマジで誰?

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