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杉元と恋人繋ぎ初期案ボツ

杉元と恋人繋ぎ しないと出られない部屋初期案
ぶつ切りで下にオチバレ


「ふむ、ふむ……ミョウジ君、杉元と手を繋いでみてくれないか」

「……はい?」
 鶴見中尉のカケトモ、……というのはよくわからないが、ご友人になったらしい不死身の頭の包帯を交換し、おやつの林檎を剥いていたところで、ずっと向かい側の椅子にかけ「ねぇなんでいるの?暇なら帰れよ」「読書をしているのが見てわからないのかね、少し黙っていてくれ」「なんでここで読書すんだよ、帰って読めよ」などと不死身と会話をされていた鶴見中尉がふと読まれていた本から顔を上げ僕と不死身に向かって仰った。ビクリと驚き体が固まってしまい、せっかく繋がっていた林檎の皮が途切れてしまった。それを残念そうに鶴見中尉が見やる。

「皮が美しくないぞミョウジ君」
「……は、はい、申し訳ありません」
「明らかにアンタのせいだろ、っていうか今なんて言った!?」
「ミョウジ君、杉元と手を繋いでみてくれないかね?」
「なんで!?」

 僕の言いたいことを不死身が代弁してくれた。戸惑ったまま発言出来ずにいると、鶴見中尉は本を僕たちにお見せになった。開かれたページは英字が連なり、無学な僕にはよくわからず困惑のまま中尉を見つめると、鶴見中尉はひとつ頷いた。

「こういうことだ」

「…え……ちょっとわかんない……あのう、俺さあずっと思ってたけど、アンタらのところの上官って頭おかしくない……?」
「前頭葉が吹き飛んでいるぞ」
「そういうことじゃねーよ」

 確かに鶴見中尉はかなり前衛的な方だと認識しているが、そうはっきり言われてしまうのも困る。本人の手前否定の意味で首を降ると、不死身に「アンタはアンタで面倒な奴だな」と言われてしまった。それは承知しているゆえに、なにも言えず俯いてしまう。「うちのをいじめないでくれ、殺してしまうやもしれん」そんな、中尉が僕を庇ってくださるなんて。鶴見中尉のお言葉に頬を染めると、不死身はぎょっと目を見張り僕を見た。

「さあ、早く手を繋いでくれ」
「だから意味がわからないんだよそれ!」
「読まなかったのか?仕方ない…」

 鶴見中尉は、本の文字を指差しご説明くださった。なんでも、西洋の恋人たちは人前で仲睦まじく抱き合い、接吻を交わし、そして手を繋いで歩くのだという。それを聞いて、僕は顔に熱が集まっていった。なんて恥ずかしい文化なんだ、人前でそんな、破廉恥だ。確かに南蛮人はこの北海道の土地にも少なからずいて、それこそ夫婦でも見かけるがそんな破廉恥なことをしている人たちは見たことがない。本当なのだろうか、だとしたら西洋の人々は羞恥心と言うものがないのかもしれない。夫婦でもないのに、だ、抱き合うなんて。

「おいおい、いくらなんでもアンタ…初すぎないか?本当に男?」
「ハハハ、ミョウジ君はそこらの女人より色事に耐性が無い。これで男でなかったら私の妻に欲しいものだよ」
「そ、そんな、鶴見中尉……」
「なんでそこで頬を染めるんだよ!ここは気色悪い奴しかいないのかよ!」

 大変失礼な発言をした不死身をムッと睨みつけ、綺麗に出来た兎林檎を不死身の口に突っ込む。貴様、鶴見中尉に命を救っていただいたというのに無礼な。監獄でトドメをさしたって構わなかったというのに、鶴見中尉の日本海よりも深く偉大な御心に感謝が足りない。不満に鼻を鳴らし、ふがふがと口の中いっぱいに林檎を詰め、またもうひとつ林檎を手に取り剥く。しかし上官の前で恥ずかしい態度をと我に返り顔を赤くした。そんな僕に、鶴見中尉は苦笑して「ミョウジ君は全く真面目だ」と仰った。


オチ:定期的に手を繋ぐようになり、あるとき「つ、繋がないのか……?」で「……顔、赤いけど」「うるさい」部屋が無性に暑かった、ただそれだけだ。(ここまでたどり着かず変更しました)

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