ALBATROSS

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no title

空の青さに顔を顰め息を吸うと冷気がつららのように肺に刺さり咳込んだ。見渡す限りの荒野の中で一人気道の粘膜をひっくり返し唾液を滴らせる。なんと間抜けなことか。白い雲はせせら笑うようにだんだんとこちらへ向かって来ていた。

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政略結婚をした。子供が出来た。しかしその子供は悪魔だった。いいや、悪魔なんて優しいものじゃない。魔王だ。女の子といえども、その子供の鋭い目つきは生まれたときからすでに魔王の片鱗を見せていた。膨大な魔力を持ちえていた娘は、父親から疎まれた。ついでに父は母を愛していなかった。母は上流階級の娘、父は中流階級の出だった。母と父は政略結婚だった。父はほかに女を作った。妹と弟ができた。魔王は用済みだった。しかし母は魔王を好いていた。そして魔王は、既に3つくらい国を滅ぼしていそうな目つきのまま成長し、なんと王族と同学年になってしまった。父は野望があった。お前にはどう考えても無理だという内容だったが、父はそれを叶えたかった。父は魔王に王族に近づけといった。魔王はよくわからないが、王族を守ればいいと思った。魔王を令嬢としてしっかり教育し無かったために起きた、喜劇の始まりである。

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そして彼らは言った。”君のいう世界とは君の視える場所か、手の届かない場所か” 彼らは透明な尾鰭をくるくるとまわし、小さな匪の中で息絶えていった。

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角を曲がった先のパン屋は西日のカーテンをひらひらと揺らし、午後の賛歌を楽しんでいる。老人は道端に横たわり地中の震動を享受していた。

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先見の明とはよく言った物だが、その明がどこから来たのか。流離の旅人が己の故郷を堅く鎖すが如く、明の在り処は誰も知らない。

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