ALBATROSS

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玻璃ぽた76話ボツ

DADAが憂鬱だ。DADAだけじゃない、他の授業も憂鬱だけど、DADAは群を抜いて憂鬱だ。油断大敵おじさんのあの目が気に食わない。あの声が、耳の奥が痛くなる。お腹の中はもやもやむかむかと調子が悪いし、イライラして頭があまりよく回らない。それら全てを直結させるのは無理矢理なのはわかってる、わかってるけど、八つ当たりさせて欲しい。あと全ての授業において宿題出しすぎ。つらみ。魔法薬学怖すぎ。スネイプ先生やばすぎ。

朝から何度もため息をつき、アリアには「あなたいい加減にしてちょうだい、ため息なら外でついて」とタバコと同類にされてしまった。煙たがられてしまった。階段を降りながら、無意識にまたため息を吐いてしまう。

「ナマエ!ナマエ、あなたはどう!?」
「うわあっ、ハーミーなに!?落ち着いて」

談話室に入ってすぐ、迫真なハーミーにガッと肩を掴まれた。

「あなたならわかってくれると思うの!」
「ごめんわかんない」
「まだ聞いてもないのに否定しないでちょうだい」

手に持ったレポートセットを落とさないように抱きしめながら、鼻息が若干荒いハーミーにどうどう、どうどう、と落ち着かせるように笑う。なんの話だいお嬢さんや。とりあえず近くの机に荷物を置き、椅子に座った。隣にハーミーが座る。私の手をぎゅっと握った。何、なにが始まるんですか。何やらただならぬ雰囲気。

「あなたも是非S.P.E.Wの一員になってほしいの」
「えす……?」
「S.P.E.W、しもべ妖精福祉振興協会よ」
「ほう…?」

しもべ妖精、というと最近よくハーミーが言ってる魔法生物だったっけ。よくわからないが、妖精と言う響きはいつかのDADA以来あまり好きじゃないんだけど。キューピッドもあんまり好きじゃない。ここテストに出ます。

「しもべ妖精というのは、無償で、いいえ、奴隷のような扱いを受けているの。ホグワーツにもいるんですって、厨房や洗濯、掃除まで沢山の仕事をさせられているのにもかかわらず無報酬、しかもこの奴隷制度は何世紀も前からずっと続いていることなの」

ハーミーは真剣な顔で言う。どんどん顔が近づいてくる。お、おう。近いよお姉さん。
奴隷とは、話の内容だけ聞いていると、普通にブラックな案件だ。不穏、魔法界ってマグルと魔法使いとモゥドブラッドとスクーブだけじゃないかしい。幅広すぎ種類広すぎ。魔法生物も多いしさあ、覚えらんないって。
だがしかし、奴隷扱いとはひどい話だ。今の時代に奴隷とか(笑)って感じなんだけど見てる限り魔法界は文明が遅いっぽいし、変な話じゃないらしい。

「私はそんなしもべ妖精の奴隷制度を改善するべく動いているの」
「そのエスなんとかってのを?」
「S.P.E.Wよ。是非あなたも入会してほしいの。入会費は2シックル」
「お金かかんのね。んー…?そのエスピーイーダブリューの奴隷制度改善って、どこを目指してんの?」

別に入るだけならいいかなーと思ったが、お金がかかるのなら話は別だ。2シックルって単位よくわからないけど。間近のハーミーの顔を少し遠ざけて聞くと、ハーミーはよく聞いてくれた!というように胸を張った。ローブの中から羊皮紙を出して読み上げる。いいなそのローブ、という感想と思ったより分厚く巻かれている紙にワァオと口から驚きがこんにちはした。

「今まず一番の目標は正当な報酬と労働条件の確保。そして大きな全体目標は、それに加えて杖の使用禁止に関する法律の改正と、妖精の代表を魔法生物規制管理部に参加させること。……妖精たちの権限は全て無視されている状態なのよ、そんなのあんまりだわ」

読んだ羊皮紙を私に渡し、ハーミーは肩を落とした。詳細は自分で読めってことですか。長い紙を開いてみると、予想以上に文字がぎっしりで反射的にすぐ閉じてしまった。こんなん読めませんごめんなさい。まほーせーぶつきせーかんりぶ。難しい名前だ。とうきょうきょきゃきょっくよりは言いやすいかもしれないけど、それなら圧倒的にスピューの勝ちだな。羊皮紙を机の上にサッと置き、ハーミーに笑いかける。むずかしいことを考えるもんだ。

「お財布あとで持ってくるからさ、2シックル?渡すよ」
「ほんとう!?あなたならわかってくれると思っていたわ!」

先程とは一転して超嬉しそうなハーミーに抱き締められる。うん、まあ、あの、よくわかってないんだけどね。そんなことを言ってしまえばめっちゃ怒られるのは目に見えているので黙って聖母の如く微笑んでおいた。ハーミー怒ると怖いんだもん…。

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