ALBATROSS

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金カム/平成からトリップしてしまった平成人の鶴見夫人

戦争は遠い国で起こっているもの、な認識の平和な日本育ちが階段から落ちて過去の知らない人になっていた話。(鶴見名前、が普通の名前だった。)

貴族ではないが父も軍人兄も軍人姉の嫁ぎ先も軍人と周りが軍だらけの家。記憶が混同してわかるにはわかるが、平和時代の記憶の方が濃く(ウワァやべえ…やべえ時代に来ちまった…)とびくびくしながら暮らす。
丁度女学校を卒業してすぐの時期、花嫁修業がうんたらかんたらで家でも厳しくされてた。でもぶっちゃけ下手なところ嫁行きたくない。って言うか平成に帰りたい。「…あのう、お母様、私嫁には行きたくありません」「ななななんですって!?」嫁ぎ先軍人だらけじゃんやだー死ぬーやだー。

しばらく縁談も出来る限りゴネにゴネて色々断られようとド派手に自分から池に飛び込んだり「ところでお人形はお好きかしら?お人形とお話するのがとても楽しくて、最近の趣味ですの」とか言って引かせてた。しかしそれも通用しなくなったらしい。お父様から頬ぶっ叩かれて「貴様はここへ行け!」とな。
「……つる、み?」「花沢中将に情けない娘がいると相談したらな、その男ならお前をもらってくれるはずだと。我が娘がそのような階級の者に嫁ぐとは父として心が痛いが、行き遅れたまま残すのは更に心が痛むのだ。幸い育ちは悪くない男だ。いいな、貴様はその男に嫁ぐのだ。子を成すまで帰ることは許さん!」「えぇーーーっ!!???」

同じ名字だというところに親近感は湧くが、だって、ねえ、この人所属北海道じゃん…マジかよ…。しかし拒否も出来ず顔合わせに。
「本日はとてもお日柄に恵まれて良うございました」「ははは、雨の日も好いておられますようで何よりです」「ところで鶴見様はみたらし団子がお好きと聞いておりますの、ですので浜田やさんの草餅をご用意致しましたわ、是非お召し上がりになって」「これはこれは、ありがとうございます。甘い物は好んでおりますがなかなか食べる機会がないもので」「それはそれは。喜んでいだけてアンズも嬉しく思っているそうですわ」「アンズ?」「ええ、私のお友達ですのよ、手縫いの愛がこもったお友達」「ほう……素敵なご友人をお持ちなのですな」
なんだこいつ手強い。無論手先が不器用なので人形は手縫いだがぐちゃぐちゃ。しかしそれもにこりと褒めた鶴見くそ怖い。こんな男いやだ。平成はよ。しかしあれよあれよと結婚させられ札幌の家に置かれる。クソ寒い。

結婚生活はほぼ帰ってこないのもありまあまあ上手くいってる。ひたすら札幌の寒さに耐える生活の方がきつい。離婚するとしたら理由は寒さって書く。

一応婚儀のうんちゃらで同衾はしたものの基本家にはあんまり帰らないから妊娠する気配なんてほぼない。というのに実家から孫催促の手紙は来る。一応中身は見るけど内容見てほぼ破る。「ん゛ん゛むううう!」「……ただいま戻った。どうした、なかなか美人になっているぞ」「おかえりなさい旦那様!今日も無事に帰っていらして何よりです!」

日露戦争が始まり、いよいよマジで危なかねえかと。そんなに詳しくないけど死にそうじゃない?いやいつだって死にそうだけどね?死なれたら困るなー嫌だなー未亡人なのも嫌だし今後の生活も困るし少しでも一緒に暮らした人が死ぬのは嫌だなー。そう思いながら見送り待つこと1年。結構な頻度で手紙は送った。同じように主人が軍人、って人たちに次々と訃報が届くのを聞いて毎朝びくびくしながら過ごしてた。

負傷兵として帰還したと知らせを聞いてゾッとしたけど生きてるんだからオッケー生きてるから大丈夫精神で病院へ。てっきり四肢が無くなってるとかを想像してたら頭に包帯ぐるんぐるんだからホッとしたらいいのか嘆いたらいいのか。障害残る?植物状態とか?不安。

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