いつきくん
/変態×ショタ(快感責め・微調教)
今日もあの子がいる。
自宅の向かい側の公園ではしゃぐ小学生たちの群れ、の、少し離れたブランコで、小さな男の子がいつも本を読んでいるのだ。
まだ四年生くらいだろうか、しかしどこか周りの子ども達とは違う、不思議な雰囲気を放つ子だと思っていた。
色気、とでもいうのだろうか。
その子はおそらく良い家柄の子なのだろう、いつも靴先まで真新しい、高そうなものを身にまとっていた。
まだ幼稚なその背格好に似合わないそれを微笑ましく見ながら、時おり向こうで遊ぶ小学生たちをぼんやり眺める横顔に、いつの間にか惹かれていってしまったのだ。
「こんにちは」
見かけてから約3ヶ月、ようやくというよりは思わず話しかけてしまったものの、思った通り男の子は怪訝な顔をしてこちらを見た。
当然といったら当然だが、思いのほか訝しげに見られて少しショックだ。
「みんなと遊ばないの?」
「…カンケーないでしょ」
ぶっきらぼうに彼は言う。
その反応も想像していた通りで、少し笑ってしまう。
なに?とでも言うかのようにキッと睨まれ、咳払い。
「いつも一人でいるよね。さびしくない?」
「…うるさいな。本をよんでるほうが楽しい」
そう言い放つとぷいっとそっぽを向いてしまった。
これではいけない。
ごめんごめん、謝りながら隣のブランコに座る。
移動しようとしないところからすると、そんなに嫌なわけではないらしい。
ふと彼の持つ本をみる。
「その本、おじさんも持ってるよ。確か主人公の男の子が恐竜と一緒に戦って…ああ、恐竜の名前なんだっけなぁ」
「!…っ、……ひゅ、ひゅーご…」
本で少し口元を隠しながら彼が答える。きっと本の話をしたくてたまらないんだろう、先程より頬は赤くなって、目線もうろうろと定まらない。
「あぁ、そうだったね。でも恐竜の次が…」
「!!っ言うな!!まだ読んでないんだからっ」
またしてもキッと凄みのある睨みをきかされ、思わずごめんねと謝る。
「おじさんの家にその本の続きがあるんだ」
「っ、本当!?」
一瞬目を輝かせてこちらをみると、ハッとしたかのようにすぐうつむいて本を読む。
子どもらしい、年相応の反応が見れただけでも嬉しいというべきか。
たくさんあるよ、続編とか。そう付け加えて、
「よかったら家にくる?すぐそこだから、本持ってかえっていいよ」
「えっ!…い、いいのか?」
にっこり笑って頷くと、ようやく彼が目を合わせて笑ってくれた。
自宅へと向かう道中、彼は名前を教えてくれた。樹くん。聡明そうな、ぴったりな名前だ。
転勤族でちょうど半年前にこちらに引っ越してきたが、そのうちまた引っ越すだろう、と樹くんは肩をすくめながら呟いた。
だから友達を作るのが苦手なのか。なんとなく同情しながらも、淡い期待を抱きながら言う。
「じゃあおじさんとお友達になろう」
「え…」
一瞬目を輝かせたが、またすぐにうつむいて眉をひそめる。
「でも、また引っ越すかもしれないし…」
「関係ないよ。友達は離れてもずっと友達なんだから」
ね?とにっこり笑うと、照れ臭そうに樹くんは笑った。
自宅へ着くと、さっそく書斎へと案内した。
樹くんの本の名前や内容を知っていたのは偶然ではなく、仕事柄こういう本をよく見るからだ。
樹くんは読みたかった本以外にも気に入った本があったのか、これもこれも、とたくさん本を手にとっては見ていた。
その姿は微笑ましく、ようやく本当の樹くんの表情を見られて嬉しい。
が、それよりももっと見てみたい表情がある。
「樹くん、友達どうしがする遊びをしよっか」
「あそび?」
そう、と言って樹くんの頭をなでる。
ふわりとした細い髪の毛はやわらかく、するりと指の間をすりぬける。
女の子からするようなシャンプーの香りが口元をゆるませる。
「お友達になったしるし…つけないとね」
樹くんは最初は不思議そうな顔をしていたが、こちらが笑うと嬉しそうに頷いた。
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