キミの心まで。



「あづい…」


汗ばんだ肌がシーツに絡み、熱をもった空気が体中にまとわりつく。

真夏の夜は嫌いだ。

寝てもすぐに暑さで目が覚め、開け放しの窓から入る虫の音で頭が冴える。

明日も部活の朝練で早いっていうのに。
まったくどうにかならないものか、モソモソと起きて二段ベッドの階段を降りた。
一番下の弟は熟睡しているらしく、可愛らしい寝息をたてている。
うらやましい。



とりあえずトイレを済ませようと真っ暗な廊下を進んでいく。
よく考えれば今って丑の刻ってやつじゃん。
そう考えるとやけに感覚が研ぎ澄まされてしまって敏感になってしまう。

コトン、案の定よくわからない物音が聞こえて体が跳ねた。

兄貴の部屋からだ。

奴も暑くて眠れないのだろうか、そんなこと言ったってもう夜中の2時を過ぎていたはずだし、いくらなんでも夜更かしにしちゃ遅すぎる。

一言声でもかけてやろうかとドアノブに手をかけ少しだけ開くと部屋は真っ暗で、目を凝らしても何も見えない。
さっきの音は気のせいか?
何にしろ起こさないようにしなければ、とドアを閉めようとした瞬間。


「…ッん、ふ…う」


…寝言?
それはそれでおもしろい、明日にでもからかってやろうか、なんて悪巧みをしながら暗闇の中で目を凝らす。

と、薄暗い部屋の中、ベッドの上で兄貴が四つん這いになって尻を突きだしているのが見えた。

な、なにしてんだ?そういう特殊な寝相の持ち主なのか、などと考えていると、何やら不穏な音が聞こえてきた。

くち、くちゅ、くちゅ

…水音、というよりは、兄貴が自分のちんこを扱いている音のようだった。
実際タオルケットで下の方はあまり見えないが、それらしい動きをしているのが分かる。

ああ…このくそ暑いのにご苦労なこった。
兄弟のオナニーなんて見せられて眠れない上に気分は最悪だ。

すっかり興ざめしたところで物音を立てないよう部屋に戻ろうとした瞬間、兄貴の小さな呻き声が聞こえた。


「ひ、あ…ッう、う」


喘いでいるようにも聞こえるそれに思わず足を止め、いけないとわかりつつまた覗きこむ。

するとなんと、兄貴の指が尻の中にすっぽりと入っているではないか。

うそだろ兄貴…本物のアニキじゃねえか、そう思いながらも、熱のこもった吐息と時折漏れる声色に息を呑んだ。

さらに耳をすますと何やらクチクチ音がして、兄貴の指がゆっくり尻の中へ出たり入ったりしてるのがわかる。
一本入ったかと思うと引き抜き、また奥までグググと入っていく。


「ん、ん…ッ、は」


指が奥まで入っていくたびに兄貴の太ももがピクピク震え、いつしかちんこを扱くのもやめ尻だけに集中しているようだった。

一本だった指が二本に増え、ぐぷぐぷとどこからともなく聞いたこともないいやらしい音が漏れている。
二本の指がいっきにねじこまれると、


「い、あっ!」


突然兄貴の体が大きく跳ね、同時に顔がこちらを向いた。
なんてエロい顔、してんだ。
いつもの真面目なあいつの顔とは全然違う、欲と快楽にまみれたような顔。
目をつぶっているから俺には気づいてないみたいだけど、さっきより息は荒いし、指の動きに敏感に反応している。

あぁ、きっと気持ちいいポイントみたいなとこがあるんだろうなと思いつつもう俺は釘付けになっていた。


「あ、…ッ、はう、あ、…ッ」


二本の指が速度を持ち始め、兄貴の腰がいやらしく揺れる。
奥でグリグリと中を擦るのが好きなのか、焦らすように引き抜いてはいっきに捩じ込んで小刻みに指を動かして悶えている。


「や、あ、おしり、きもち…っ」


涙目で吐息混じりにそんな言葉まで発している。

兄貴のこんな姿なんて普通に見たら気持ち悪いだけなのに、今となってはもう冷静になんて見ていられなくて。
それどころかその醜態をみてちんこが反応し始めてしまっている。

兄貴の指もとうとう三本までに増え、掻き回すようにバラバラに出入りしていた。
まるで無理矢理されているかのように、いやだとかもうだめとか、そんな言葉の端が聞こえてくる。
そういうの好きなのか?
それともされたのか、兄貴のそんな光景が思わず浮かんで首をふった。


「や…あッ、また、おしりだけで、いっちゃ…っ」


そろそろ達するのか、激しくなる出し入れに兄貴が体をガクガクと震わせている。
ていうかまたってことは毎回尻でオナニーしてんのかこいつ、信じらんねぇ、俺のちんこがビンビンなのも信じらんねぇ。

静かな部屋に響く水音と兄貴のエロい声がたまらなく。


ぬち、ぐぷ、ぐちゅぐちゅっ


「あ、あ、…ッい、だめ、いっちゃ 、なおき…っ」


そう言うと一際奥まで指が尻を貫き、大きく体が跳ねた。
射精しているのかそのあともビクビクと痙攣している。


荒くなった息を整え、兄貴が静かに横になった。
それを見届け、俺は前屈みのまま部屋へ戻る。

部屋に戻ると相変わらず空気はじめじめとしていて、二段ベッドの下では弟がまだすやすやと眠っていた。


兄貴が最後に呼んだ名前が偶然にもコイツの名前と同じだったことは触れないでおこう。





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